子どもたちに大人気の恐竜。生態や見た目の研究についての図鑑や、創作絵本は多く見かけますが、そのリアルな日常とはどんなものだったのでしょうか? 生態に基づき、恐竜の目線で彼らのとある一日を描いた絵本、『ティラノサウルスのはらぺこないちにち』『トリケラトプスのなんでもないいちにち』をご紹介します。
『ピン・ポン・バス』の人気コンビが手がける恐竜絵本!
2冊の絵本の作者は、文が竹下文子さん、絵が鈴木まもるさん。『ピン・ポン・バス』をはじめとするのりもの絵本で人気のコンビです。鈴木まもるさんは、絵本の挿絵で知られる一方、鳥の巣研究の第一人者でもあります。鳥は恐竜の子孫であることから、自然と恐竜へと興味が広がり、今回の絵本が生まれました。
恐竜の生態に基づいた、ファンタジーではない、リアルな恐竜の一日の物語。7000万年前の恐竜がいた時代にタイムスリップし、2匹の恐竜の「日常」を描きます!
『ティラノサウルスのはらぺこないちにち』は、肉食恐竜の中でも人気のティラノサウルスが主人公。朝からお腹をすかせ、獲物を探してあるきまわります。
途中で出会うのはドロマエオサウルス、パラサウロロフス、パキケファロサウスル、トリケラトプスなどなど。でも、もちろん相手だって常にまわりを警戒して行動しています。最強の肉食恐竜のティラノサウルスといえど、すばやく逃げられたり、遠すぎたり、なかなか獲物を捕らえることができません。
ようやくオルニトミムスにありつけたとき、横取りするものが現れ、激しい戦いが始まります!
『トリケラトプスのなんでもないいちにち』は、草食恐竜で角が特徴的なトリケラトプスが主人公。あたたかな太陽の光とともにめざめ、のしっのしっ、どこまでも広がる地面を歩き始めます。
卵を大事に守るマイアサウラをみかけ、そうっと通りすぎたり、遠くにゴルゴサウルスをみつけさっと身を潜めたり。ほこりを巻き上げ逃げていくオルニトミムスのむれにも出会います。何かあったのでしょうか?
少量の草をはみ水を飲み、トリケラトプスは「なんでもない一日でよかった」と眠りにつきます。
2冊あわせて読むと、4倍楽しい!
肉食恐竜のティラノサウルス、草食恐竜のトリケラトプス。それぞれの視点で描かれる「同じ一日」を描いた物語。
2匹が対面するわけではありませんが、ティラノサウルスに食べられたオルニトミムスの仲間たちが逃げる姿を、トリケラトプスは目にしていることから、危うく2匹は出会うところだったことがわかります。2冊あわせて読むと恐竜の世界が立体感を持ち、よりおもしろく感じられることでしょう。
ティラノサウルスといえど、獲物をとらえるまでに長い時間がかかる「はらぺこ」な日があることもあり、トリケラトプスの「なんでもない一日」は、捕食される側の恐竜にとっては、今日も無事で生き延びることができた、という価値ある日。また、そのまわりには他の恐竜たちの、それぞれの一日の物語があることが想像できます。
ありそうでなかった、リアルな恐竜を主人公にした物語絵本。恐竜が好きになりはじめた子どもたちの、導入の絵本としてお楽しみください!