『あかいありのぼうけんえんそく』(かこさとし 作・絵)は、小さなありたちの(波乱万丈な!)秋の遠足の1日を描いた絵本。実は、ロングセラー絵本『あかいありとくろいあり』(1973年刊行)の約40年ぶりの続編でもあります。いったいどんな冒険がまっているのでしょうか?
全校生徒で、8000ミリメートルの「ぼたもちやま」へ!
前作『あかいありとくろいあり』は、兄妹ありのなっちゃんとぺっちゃんを主人公にした春のお話でした。今度の舞台は秋。
なっちゃんとぺっちゃんが通う「あかありしょうがっこう」では、秋に遠足があります。目的地は「ぼたもちやま」。なんと高さが8000ミリメートル(8m)もあるというので、ありたちにとっては、大変な冒険です。小学校では、4つの組をつくってこの遠足にのぞむことになりました。
1 せんとう ぜんしんはん(先頭・前進班)
2 きゅうえん きゅうしょくたい(救援・給食隊)
3 くみたて こうさくぐみ(組立・工作組)
4 だんけつ だんごだん(団結・団子団)
おや? ちょっと不思議な名前の組ですね。それぞれ、遠足でどのような役割があるのでしょう?
さて、遠足びよりのお天気となった当日。あかありたちは組ごとに固まり、一列になってぼたもちやまのてっぺんをめざします。
ところが……! 途中、あかありたちの前につぎつぎと、大きく手ごわい敵が現れます。
そこで、そう、あの4つの組の出番です。「ぜんしんはん」が、ながぼうでアカムカデと戦ったり、「こうさくたい」がはなびのけむりでウスバカゲロウをやっつけたり……それぞれがすばやく行動、みんなで一致団結してこの大ピンチを切り抜けます。
かこさとしさんらしさ満載の冒険絵本
小さなありたちの遠足を、真面目に、でも、とてもユーモラスに描いた本作。秋にみられる虫たちが出てきたり、かこさん独特の擬音語が出てきたりと、かこさんらしさがつまった一冊です。たとえば、遠足にむかう場面では、ありたちはこんなふうに歩きます。
ちいさい いち、にねんせいは
チッチク チッチク タンタンタン
と、あしをうごかします。さん、よねんせいは
エッチラ オッチラ ドンドンドン
と、すすみます。ご、ろくねんせいに なると
ドッチラ ガッチラ グングングン
と、のぼっていきます。
足下にいるありたちが、「チッチク チッチク」「ドッチラ ガッチラ」歩いていると想像すると、ありたちの観察がいっそう楽しくなりますね。
小さなありたちの秋の大冒険に、みなさんもぜひいっしょにおでかけください。