icon_twitter_01 icon_facebook_01 icon_youtube_01 icon_hatena_01 icon_line_01 icon_pocket_01 icon_arrow_01_r

今週のおすすめ

虫たちの姿を、芸術的な細密画で描き出す! 舘野鴻さんの虫の絵本4作

生き物の細密画で知られる絵本作家、舘野鴻さん。対象の虫を自ら徹底的に観察・調査し、その生き様を深く理解してから緻密な絵で物語に落とし込む、という制作方法で、何年もかけて一冊の絵本を作り上げています。今回は、これまで偕成社で舘野さんが手がけた『しでむし』『ぎふちょう』『つちはんみょう』『がろあむし』の4作をご紹介します。
 

4作の主役となる虫、それぞれの内容は?

 まずは、4作のおおまかな内容をご紹介します。

 1作目は『しでむし』。死んだネズミの死体を餌に子育てをする、死体を食べる虫「死出虫」の物語です。
 ネズミが生まれるシーンからはじまり、そのネズミが子どもを生み、野で死ぬと、シデムシが登場します。死んだネズミの体に卵を産むシデムシ。生まれた幼虫たちは、ネズミの体を食べて育ちますが、その一方で成虫は、別のネズミに食べられてネズミの栄養になることも……。鮮烈なデビュー作です。
 

 2作目の『ぎふちょう』の主役は、アゲハチョウの仲間であるギフチョウです。
 美しいこの蝶の特徴は、雪の多い地域に早春の季節のみ現れること。春、成虫が卵を産み、幼虫として生まれた毛虫は、夏も秋も冬も、外でどんなことが起ころうとも、さなぎの姿でじっと時を待ち、早春の季節に、さなぎから出てくるのです。
 

 3作目は『つちはんみょう』。ハナバチという蜂の仲間に寄生する、変わった生態のツチハンミョウの一生を追いかけます。ハナバチの巣の中で、ハナバチの幼虫と花粉団子を食べ、成虫になるツチハンミョウ。成虫が産んだ卵からかえったたくさんの幼虫たちは、周囲の虫たちの体にしがみつき、あちこちを旅して回ります。寄生するハナバチに出会える幼虫は、一体どのくらいいるのでしょうか? 小学館児童出版文化賞を受賞した作品です。
 

 4作目は『がろあむし』、地中の暗い世界で生まれ育つガロアムシに迫った一作です。自分より小さい生き物たちを食べて成長するガロアムシ。雄と雌の交尾のあと、雌が雄を食べ、そして雌も、クモに見つかって……。地面の下で人知れず起こっている小さな世界が、ドラマチックに描かれます。
 

虫たちの小さな営みから感じられる、世界の広さ

 舘野さんが描くのは、自然世界のごく一部を切り取った小さな物語です。しかし、そこからはこの世界の広さが感じられます。わたしたちが知らないところで、日々たくさんの命が生まれ、死に、循環している。そのことに気づかせてくれるのが、舘野さんの作品なのです。
 

 すみずみまで細かく描かれた絵は、虫の視点で描かれているものも多く、迫力満点。いつまでも眺めていたくなります。

 また、各巻に取り上げた虫についての解説ページがついていて、その虫のことがより深く理解できます。このページは、舘野さん自らが何年もかけてその虫を観察・研究した賜物! 舘野さん撮影の写真も多数掲載されているので、ぜひじっくりとご覧ください。
 
 
 読み物『ソロ沼のものがたり』、作で『あまがえるのかくれんぼ』なども手がけている舘野さん。絵本の原画展はもちろん、ユニークな語り口でのトークイベントなど、活躍の場を広げています。次回作も楽しみです!

この記事に出てきた本

関連記事

バックナンバー

今日の1さつ

ぬまの100かいだてのいえのさがしものクイズもけっこうむずかしかったけどたのしかったきもちもあったりでうれしかった。100かいだてのいえのなかでいちばんすきだった。(6歳)

pickup

new!新しい記事を読む