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虫たちの姿を、芸術的な細密画で描き出す! 舘野鴻さんの虫の絵本4作

生き物の細密画で知られる絵本作家、舘野鴻さん。対象の虫を自ら徹底的に観察・調査し、その生き様を深く理解してから緻密な絵で物語に落とし込む、という制作方法で、何年もかけて一冊の絵本を作り上げています。今回は、これまで偕成社で舘野さんが手がけた『しでむし』『ぎふちょう』『つちはんみょう』『がろあむし』の4作をご紹介します。
 

4作の主役となる虫、それぞれの内容は?

 まずは、4作のおおまかな内容をご紹介します。

 1作目は『しでむし』。死んだネズミの死体を餌に子育てをする、死体を食べる虫「死出虫」の物語です。
 ネズミが生まれるシーンからはじまり、そのネズミが子どもを生み、野で死ぬと、シデムシが登場します。死んだネズミの体に卵を産むシデムシ。生まれた幼虫たちは、ネズミの体を食べて育ちますが、その一方で成虫は、別のネズミに食べられてネズミの栄養になることも……。鮮烈なデビュー作です。
 

 2作目の『ぎふちょう』の主役は、アゲハチョウの仲間であるギフチョウです。
 美しいこの蝶の特徴は、雪の多い地域に早春の季節のみ現れること。春、成虫が卵を産み、幼虫として生まれた毛虫は、夏も秋も冬も、外でどんなことが起ころうとも、さなぎの姿でじっと時を待ち、早春の季節に、さなぎから出てくるのです。
 

 3作目は『つちはんみょう』。ハナバチという蜂の仲間に寄生する、変わった生態のツチハンミョウの一生を追いかけます。ハナバチの巣の中で、ハナバチの幼虫と花粉団子を食べ、成虫になるツチハンミョウ。成虫が産んだ卵からかえったたくさんの幼虫たちは、周囲の虫たちの体にしがみつき、あちこちを旅して回ります。寄生するハナバチに出会える幼虫は、一体どのくらいいるのでしょうか? 小学館児童出版文化賞を受賞した作品です。
 

 4作目は『がろあむし』、地中の暗い世界で生まれ育つガロアムシに迫った一作です。自分より小さい生き物たちを食べて成長するガロアムシ。雄と雌の交尾のあと、雌が雄を食べ、そして雌も、クモに見つかって……。地面の下で人知れず起こっている小さな世界が、ドラマチックに描かれます。
 

虫たちの小さな営みから感じられる、世界の広さ

 舘野さんが描くのは、自然世界のごく一部を切り取った小さな物語です。しかし、そこからはこの世界の広さが感じられます。わたしたちが知らないところで、日々たくさんの命が生まれ、死に、循環している。そのことに気づかせてくれるのが、舘野さんの作品なのです。
 

 すみずみまで細かく描かれた絵は、虫の視点で描かれているものも多く、迫力満点。いつまでも眺めていたくなります。

 また、各巻に取り上げた虫についての解説ページがついていて、その虫のことがより深く理解できます。このページは、舘野さん自らが何年もかけてその虫を観察・研究した賜物! 舘野さん撮影の写真も多数掲載されているので、ぜひじっくりとご覧ください。
 
 
 読み物『ソロ沼のものがたり』、作で『あまがえるのかくれんぼ』なども手がけている舘野さん。絵本の原画展はもちろん、ユニークな語り口でのトークイベントなど、活躍の場を広げています。次回作も楽しみです!

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