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今週のおすすめ

銅版画家・山本容子さんがストーリーも手がけた春の絵本『チューリップ畑をつまさきで』

寒さがだんだんとやわらぐと、春の予感が強まりますね。今回ご紹介する絵本『チューリップ畑をつまさきで』は、春がやってきてから、次の春がくるまでのお話。球根の子ども、カオリとバナナが、西へ東へ大冒険! 銅版画家の山本容子さんが、はじめてストーリーも手がけた一冊です。


キューコンチョーにのって、球根のカオリとバナナが旅にでる!

 春、チューリップの妖精シンシアが雪の上にすわり、もそもそ動きだしたキューコン(球根)たち。チューリップの女王、ラーレがあらわれたら、さあ、春のはじまりです。ラーレの光をうけてキューコンたちは花ひらき、チューリップとなっておさんぽをはじめます。

 そう、この森のチューリップは、歩けるのです!


 花の時期が終わった夏、土の下にはキューコンの子どもたちがいました。なかよしのカオリとバナナが、このお話の主人公です。
「わたしはカオリ 春の歌の練習をしているの 雪のように白いチューリップになりたいの」
「わたしはバナナ 春には元気にあるけるように ヨガをしているの 黄色のチューリップがあこがれ 光のようにかがやくの」

 夏を過ごし、秋をむかえたふたりの元に、ある満月の夜、キューコンチョー(球根鳥)があらわれました。そして、カオリとバナナを頭にのせて、「トルコまで ひとっとび〜」となくと、どんどん飛んでいったのです。
 
 次の朝、キューコンチョーの頭の上から外をみていたバナナは、海におっこちてしまい、南の島にたどりつきました。そこでこざるにであったバナナは、一緒にダンスをし、太陽をたっぷりあびて、楽しく過ごします。


 一方、そのままトルコまでたどりついたカオリは、キューコンチョーにみちびかれ、宮殿の中へ。そこには、チューリップの絵がいっぱいありました。絵の中には、カオリのしっているチューリップの姿も描かれていました。
「この赤いチューリップはラーレ! 白いチューリップはシンシアじゃない?」
美術館のような宮殿で、絵をながめながら過ごします。
 
 さて、ダンスに夢中だったバナナですが、ふとした瞬間、自分が海におっこちたことを思い出します。
「カオリにあいたいよー トルコにさがしにいかなくちゃー」
さあ、ふたりは無事に再会できるのでしょうか。そして、夢みる美しいチューリップに成長することはできるのでしょうか?
 

文章は山本容子さんの手書き! ストーリーまで手がけたはじめての作品

 作者の山本容子さんは、銅版画家として活躍されており、共作の絵本はたくさんありますが、本作ではじめて、ストーリーまでをお一人で手がけられました。文章はすべて山本さんの手書き。あたたかみのある文字と、山本さんならではの淡くファンタジックな色づかいの絵で、わたしたちをふしぎな世界へ連れていってくれます。
 
 タイトルの「チューリップ畑をつまさきで」は、アメリカのミュージカル映画「ブロードウェイの黄金時代」(1929年)の挿入歌からとられています。原題はTiptoe through the tulips with me。さまざまな歌手にカバーされているポピュラーソングです。軽やかで、うきたつような喜びを感じさせてくれるこの曲は、本作の内容にぴったり! ぜひ、本と一緒に楽しんでみてください。


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ちょっとふてぶてしいような、味のあるミケばあちゃんの顔と、懐かしい絵柄でありながら意外とビビッドな色づかいに魅力を感じて買いました。おなおしをしながら大事に物を使うことを、改めて教えてくれる良い絵本でした。(20代)

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