「きみが考える・世の中のしくみ」シリーズ( 峯村良子 作・絵)は、政治や憲法など、世の中を動かすしくみについて、絵とストーリーで紹介する全4巻のシリーズ。子どもたちにも身近な話題を例にあげながら、国会、選挙、地方自治、税金、福祉など、教科書でとりあげる内容を学ぶことができます。
①政治ってなんだろう?
政治ってむずかしいし、わたしには関係ない! と思っていませんか? でも、政治とは、いろんな違う考えを持った大勢の人たちが、一緒に幸せな社会を作っていくこと。私たちに密接に関わるのあるものです。
この本では、導入として、つつじ市の子どもたちが町のシンボルになっている大きな木に「登りたい!」と思い、話し合いを重ねながらその願いを実現していく過程を通じて、政治とは何かを説明します。子どもたちの意見は市議会で話し合われますが、賛成の人も反対の人も両方います。なぜ禁止しているのか? 問題点はどこにあるのか? 他に事例はあるのか? など、ひとつずつ課題を丁寧に考察していき、最終的には「木登り」を実現するためのルールを作ります。
選挙や国会、内閣のしくみに加え、税金の収入と支出もビジュアル化してわかりやすく描かれていますので、政治が自分たちの暮らしの身近なことをつくっているものだと感じることができるはず!
②憲法ってどんなもの?
憲法は、国が国民とかわした約束。法律はすべて、憲法の考え方にもとづいて作られています。憲法はいわば、法律のボスのようなもの!
「好きな本を自由に読める」「嫌なことを嫌だと言える」。どれもすごく当たり前のように思えることですが、これらのことが保障されていない国もあります。かつて、戦争の時代に日本にあった憲法も、現在のように自由に色んなことができ、人々が平等に暮らせる内容ではありませんでした。この巻では、昔の憲法についても説明しながら、「国の主役は国民」「戦争はしない」「基本的人権」など、現在の日本国憲法に書いてある、国の基本的な考え方について紹介しています。
また、時代の変化とともに、憲法に書いてあることからさらに解釈を広げて、プライバシー権や、知る権利など、現代にそった権利が、生まれていることも説明しています。
③法律と裁判ってなに?
法律は、くらしを守るルール。例えば、車は道路の左側を走る、というのも法律です。世の中にはとてもたくさんの人がいるので、法律をつくって、もめごとを防ぎます。もし、もめてしまった場合は、裁判が開かれます。この本では、その法律と裁判について紹介しています。
裁判の項目では、友人同士で貸し借りしたお金が戻ってこない! という例をもとに「民事裁判」をおこし、お金が返ってくるまでをビジュアルとともに描きます。また、ある男の子が、別の子を押して怪我をさせてしまったことをきっかけにした「刑事裁判」の項目では、事件をしらべるところからはじまり、裁判の様子もイラストで図解しながら紹介します。
テレビドラマなどでみる裁判のようすも、こうして1つ1つ説明があると、どの人がどんな役割を持っているのかがよくわかります。
④社会保障ってなに?
社会保障は、医療保険、年金、介護、子育てなど、誰にでも関係のあること。年をとったり、病気やけがをしたりして、仕事ができないときもあります。そのようなとき、困っている人の暮らしを社会全体で助けることを、社会保障といいます。
そのために、ある一定の年齢になると、国民は年金や介護保険を払います。自分は健康だし、若いから人のために払いたくない、と思うかもしれませんが、人間いつしか歳をとりますし、若くして突然病気になることもありますね。「誰か」のことがいつ「自分の」ことになるかはわかりません。社会で生きる上で、みんなで支え合うという気持ちを持つことはとても大事なことです。
同時に、その制度を続けるために、不公平がないか、助け合いがうまくいっているかを常に考えていく必要があるという社会保障の課題についても触れています。
国を作るしくみが初めてでもわかりやすく学べるシリーズ。ぜひ手にとってみてくださいね!