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今週のおすすめ

血はつながっていなくても、親子だね。愛にあふれた絵本『ねぇねぇ、もういちどききたいな わたしがうまれたよるのこと』

産みの親と一緒に暮らせない子どもたちを、自分の家庭に迎え入れて養育する「里親」や「養子」。今回ご紹介する『ねぇねぇ、もういちどききたいな わたしがうまれたよるのこと』(ジェイミー・リー・カーティス 作/ローラ・コーネル 絵/坂上 香 訳)の主人公「わたし」両親に、血のつながりはありません。そのことを知っている「わたし」は、両親と出会った日の話を聞くのが大好き! 家族や愛情の形がさまざまであることを教えてくれる、愛がいっぱいの絵本です。


「ねぇねぇ、もういちど ききたいな。ママはうれしくって、なきだしちゃったんでしょ」

 「わたし」は、パパとママが、はじめてわたしを迎えにきてくれたの話を聞くのが大好き。もう、何度も繰り返し聞いていて、全部おぼえているんですけどね。
 
 ねぇねぇ、もういちど ききたいな。まよなかに でんわがなったときのこと。
わたしがうまれたって きいたとき、
ママは おおきなこえを だしたんでしょ。


 ねぇねぇ、もういちど ききたいな。
ほいくきのなかのわたしを まどのむこうから はじめてみたときのこと。
おどろいたんでしょ。
こんな ちっちゃなわたしが ふたりを にこにこさせることができるなんて。


 ねぇねぇ、もういちど ききたいな。
わたしを はじめて うでにだいて、
「わたしの かわいいあかちゃん」って よんでくれたときのこと。
ねぇねぇ、もういちど ききたいな。ママは うれしくって、なきだしちゃったんでしょ。


 「わたし」を引き取って、「親」になったパパとママ。「わたし」の言葉から、2人が「わたし」の誕生によろこび、楽しく、懸命に「わたし」を育て、家族になっていったことが伝わってきます。
 

ユーモアもたっぷり! 絵も楽しめる絵本

 両親とは血がつながっていなくて、生みの親は別にいる? ともすればしんみりとするかもしれないテーマを扱ったこの絵本ですが、絵をみるとたくさんのクスッと笑える出来事が描かれていて、ユーモアたっぷりです。
 
 たとえば、ママが家で読んでいる本のタイトルは、『いっかげつで やせるために』。おじいちゃんとおばあちゃんの家のベッドを見れば、「しわがなくなるクリーム」が!
 
 パパとママが病院についた場面では、廊下に生まれたての7つ子のあかちゃんがお目見えし、テレビクルーがインタビューをしていたり、保育器が並ぶ病室では、別の一家の、髪の毛が逆立ったお父さんが、そっくりの髪型をした我が子にびっくりしていたり……。
 
 あちこちにちりばめられた楽しい描写で、絵を「よむ」のもおもしろい絵本です


「わたしは どうやって うまれてきたか」

 パパとママは、産みの親のことも正直に「わたし」に話しています。そのことは、「わたし」によってごく自然に語られています。このシーンから、いかに「わたし」が2人に愛され、自分の出自をありのままに、おおらかに受け入れているかがわかります。


 ねぇねぇ、もういちど ききたいな。
ママのおなかでは あかちゃんが そだたなくて、
もうひとりのおんなのひとのおなかで わたしが おおきくなったってこと。
そのひとは わかすぎて わたしのめんどうを みることができなかったんでしょ。
でも、そのひとは わたしをうんでくれた おかあさん。
ママとパパは わたしをこどもとして かぞくにした、そだててくれる ママとパパ。
 
 血のつながりはなくても、「わたし」とパパとママは、まちがいなく本物の「家族」。あふれる愛に、心があたたまる絵本です。

この記事に出てきた本

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今日の1さつ

山本容子先生の絵が大好きでいろいろ集めています。ストーリーがまた愉快で壮大でワクワクします。どこからこんな楽しいお話が出てくるのでしょうね。絵がすばらしいのはもちろんです。花も動物も一人一人がちがう表情をしていて、見飽きません。すばらしい絵本をありがとうございます。(80代)

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