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絵本&読み物案内

本で科学相談! 身のまわりの約65の疑問に答える「かがくなぜどうして」

2021.08.30

子どもといると、「どうして空は青いの?」「どうしてタマネギを刻むと涙がでるの?」など、様々な身のまわりの質問をされることが多いと思います。いざ聞かれると、答えがわからなかったり、子どもにわかりやすく伝えるのが難しかったり。今回はそんな疑問に1、2、3年生の学年別に、わかりやすい言葉で回答するシリーズをご紹介します。


生きものから宇宙まで! 約65個の科学の質問に答えます。

 このシリーズは『かがくなぜどうして 一年生』『かがくなぜどうして 二年生』『科学なぜどうして 三年生』(久道健三 著)の全3巻です。

 子どもが身のまわりの様々なことに好奇心をもって、大人に質問するのは昔も今も同じです。実は、このシリーズの元になった本は、なんと1957年(!)に『理科なぜどうして』というタイトルで刊行されていました。

 長らくロングセラーとして愛された後、2002年に新しい著者のもと、質問も含めて全面的に改訂されたのが、現在の「かがくなぜどうして」です。中身は異なるとはいえ、同じシリーズとしては実に60年以上の歴史がある本なのです。

 1年生〜3年生、それぞれの学年にあわせた文字の大きさ、文章のわかりやすさで質問と回答が並びます。

 さっそく中を見てみましょう! 質問はそれぞれの巻に約65個。例えば、1年生の巻には、こんな質問があります。

Q「ないたとき、はなみずも でてくるのは なぜ?」(「からだのふしぎ」より)

A 目と はなの おくは、とても ほそい くだで、ひとつに つながっています。
 なみだが いつもより たくさんでると、目から あふれでて、ほおを つたわります。このように、なみだが たくさん でるとき、なみだは 目とはなの くだをつたって、どんどん はなにも ながれていきます。
 これが、はなみずになって でてくるのです。

絵・岩田くみこ

 みなさん知っていましたか? なんと、泣いたときにとめどなく出る鼻水は、いわば鼻から流れる涙だったのですねえ。


 2年生の巻にはどんな質問があるでしょう?

Q チョウのはねもようは なんでできているの?(「虫や魚のふしぎ」より)

A 花や木などに とまっているチョウを つかまえようと、はねをつまむと、ゆびに きらきらした こながつきます。これは、「りんぷん」というものです。(中略)チョウの さまざまな うつくしいもようは、りんぷんによって つくられているのです。もしも、りんぷんを ぜんぶとってしまったら、チョウのはねは すきとおってしまいます。
 トンボやセミのはねが すきとおっているのは りんぷんがないからです。(以降略)

堀田アツコ

  たしかにつまむと透明になってしまう羽ですが、改めてあの美しいもようがすべて小さなつぶつぶの粉で作られていると思うと、自然の美しさ、不思議さに驚きを隠せませんね。


 3年生になると、理科を学び始めるので、その知識を前提とした答えも用意されています。

Q 自動車のとおる、トンネルの中のあかりは、どうして黄色いの?(「身のまわりのふしぎ」より)

A 光は、空気中をすすむとき、空気中にうかんでいる、こまかいちりや、ほこりにぶつかります。すると、光はまっすぐにすすまず、あちこちに、ちらばってしまいます。光は、ちらばると、よわくなります。
 トンネルの中は、風とおしが悪く、空気中のちりやほこりが、とても多くなります。ところが、黄色やオレンジ色の光は、ちりやほこりがたくさんあっても、青や緑の光にくらべて、それほどちらばらないのです。そのため、ほかの色の光より明るくて、遠くまで光がとどくので、黄色やオレンジ色の光が、トンネルなどのあかりとしてつかわれるのです。(以降略)

絵・つだかつみ

 理科で学ぶ光の性質や屈折はこんなところで役立ちますね。

答えられない質問にも答える!

 中には、答えるのがなかなか難しい質問も。そんなときはちょっとしたユーモアも交えて答えてくれます。

Qどんなとき つかれるの?(『かがくなぜどうして 二年生』より)

A どんなときにつかれるか、たくさんの子どもたちに きいてみました。だいたい つぎのような答えが かえってきました。(中略)つかれかたは、このようにいろいろありますが、からだがつかれるときと、あたまがつかれるときと、こころがつかれるときと、三つにわけられそうです(中略)

答えがむずかしいのは、あたまやこころのつかれです。おもしろいのは、おなじことをやっても、つかれるばあいと つかれないばあいがあることです。(中略)じぶんからすすんでやることは なかなかつかれませんが、人からやらされることは、すぐにつかれるような気がします。

 まさにそのとおり。科学が発達した現代でも、人間の、特に心の部分はわからないことも多いですね。そんな明解に答えのでないことにも、共感できる回答が用意されています。

書籍版「子ども科学電話相談」!?

 夏休みになると、NHKのラジオで「子ども科学電話相談」が開かれ、様々な分野の識者がその場で子どもの質問に答えていきますね。子どもが「なるほど!」と膝を打ってくれることもあれば、回答が難解になりすぎて「はいー……」とだんだん、あいづちの声が小さくなっていくことも……。

 知識はあっても、子どもたちに「わかりやすく」伝える、というのは難しいことです。

 このシリーズはいわば、その書籍版といったところでしょうか。ラジオと同じく、短い文章で子どもたちの質問に答えていますので、中には「ちょっとわからないぞ」ということも出てくると思います。でも、その疑問を新たな種に、他の書籍にあたってみると、知識はどんどん広がっていきます。

 本書は、同じ科学でも「宇宙だけ」「生き物だけ」と限定せずに、身のまわりや、身体のことなど、幅広い疑問に1冊で答えてくれるのが魅力です。なんといっても、文字になっているので、読んだ後忘れてしまっても、本を開けば、答えがみつかります。

 また、以前は気にならなかったことを、ふとしたときに疑問に思うこともありますね。そんなときは、ぜひページを繰ってみて、答えが載っているか探してみてください! 一度に読まなくても、気が向いたときに好きなページを読んでも、楽しめることでしょう。

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