は、これまでに400冊以上の絵本を手がけてきた、日本を代表する絵本作家、五味太郎さんの初期作品のひとつ。いまでも読みつがれているロングセラー絵本です。ページをめくるたびに、意外なおどろきが待っています。さあ、このライオンくんの表紙から、どんなお話がと思いますか?
おふろですよ、はだかんぼになりなさい!
主人公のライオンくんが、猫と遊んでいると、お母さんらしき人の声がきこえてきます。
ライオンくん! おふろ ですよ はだかんぼに なりなさい
ライオンが はだかんぼに なるなんて おかしいね
でも まあ しかたない では……
ページをめくると、なんと!
ライオンくん、頭をすぽっととりました。あれあれ、ライオンの毛皮を着ていただけだったのですね。下に着ていたのもぬぐと、なかからはすてきなお洋服をきたクマくんの登場です。
そして、またおかあさんの声。
ひとりで ちゃんと ぬげますか?
クマくん、チョッキとズボン、くつした、パンツとつぎつぎ(ゆかいに!)、ぬいでいきます。すっかりはだかんぼになったら、もう正真正銘のクマくんです。
ところが……またまたおかあさんの声!
あら いやだ! クマくん はやく はだかんぼに なりなさい
ええ? まだはだかんぼじゃないの? 「まあ しかたない」と、しぶしぶはだかんぼになりはじめた、クマくん。なかから出てきたのは?
まだまだ遊んでいたい夕方を楽しい時間に!
いつでも元気いっぱいの子どもたちにとって、この夜の「お風呂に入りなさい」というお父さんお母さんの掛け声は、歓迎できないことも多いのではないでしょうか。ああーめんどうくさい、まだ遊びたい、テレビを見ていたいのに! ってね。それを五味太郎マジックであっという間に楽しい時間にしてしまったのが、この絵本です。
「はじめてよむ絵本」シリーズの1冊で、読み聞かせになれていなくても、短いテキストを読んで、ページをめくるだけで、子どもたちの「え!」というおどろき、「わあ!」というよろこびを引き出すことが
読むのになんにもコツはいりませんが、守りたいのは、表紙、表の見返し(表紙をめくってすぐの見開きのことです)、本文、そして裏の見返し、裏表紙まで、どこもとばすことなく、読むということ。すべてがつながっていますので、順番通りに、読んでみてください。すみずみまでしかけられた遊びが楽しめますよ。