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今週のおすすめ

読み継がれるのには訳がある!『大きい1年生と小さな2年生』

作家・古田足日さん(1927〜2014)の代表作のひとつ、『大きい1年生と小さな2年生』(中山正美 絵/1970年刊)。小学生の心の成長をていねいに描いたこの作品は、毎年たくさんの子どもたちに読み継がれています。2020年で、なんと刊行50周年! なぜ、こんなに長く愛されているのでしょうか。その魅力をご紹介します。


主人公、まさやとあきよ

 まさやは、この4月に小学1年生になりました。とても背が高く、大人っぽいと思われがちですが、実は弱虫。通学路の林の道に泣きだしてしまうほどの、こわがりです。
 
 あきよは、まさやと同じ小学校に通う2年生の女の子です。まさやと反対に、あきよはとても小柄。学年でも一番小さく、利発で強気な性格から、男の子たちから「チビのくせに!」なんて言葉を投げかけられることもありますが、それをものともしない強さをもっています。
 
 そんなふたりは、帰り道が同じ。まさやは、しっかり者のあきよに手をつないでもらって、毎日林の道を帰っています。まさやはあきよに憧れ、あきよは弱虫のまさやを気にかけています。


あきよに憧れ、一歩を踏み出すまさや

 原っぱで花を摘んだり、はじめての道を通って神社へ行ってみたり。まさやとあきよ、あきよの同級生・まり子は、あちこちで小さな冒険を繰りひろげます。小学生である3人の行動範囲は、それほど広くはありませんが、日々たくさんの発見をし、新しい感情が生まれます。
 
 ひとりではこわくて行けなかった場所も、あきよとまり子が一緒なら、楽しい気持ちがまさって行動できるまさや。少しずつ、行ける場所、できることが増えてきたある時、3人で力を合わせてとったホタルブクロの花を、3年生の男の子たちに、めちゃめちゃにされてしまいます。
 それまで涙などみせたことがなかったのに、つぶれてしまった花を前に涙をこぼしたあきよに、まさやは一歩踏み出すことを決意します。ホタルブクロの花を、両手いっぱいにとって、あきよにあげることにしたのです。
 
 知らないことやはじめてのことは、できるだけ避けてきたまさやが、たったひとりで遠くの林を目指す……。さて、どうなるのでしょう?


ていねいに描かれる心の動きは、時代を問わず子どもたちに届く

 この作品の大きな魅力は、子どもたちの心のていねいな描写です。こわがってしまったり、つい強がってしまったり、ちょっとしたことにドキドキしたり、ささやかな言葉に強く影響を受けたり。どの子をみても、誰しもに当てはまるような、子どもらしい面が満ちていて、大人が読んでも、「わかるわかる!」「こんな子、いたいた!」と共感できます。まさに同じ小学生時代を過ごす子どもたちには、その描写が、よりいっそう鮮やかに届くはずです。
 
 『大きい1年生と小さな2年生』は海外でも、タイ、台湾、中国、韓国の4か国で出版されています。(2020年4月現在)特に中国では、なんと累計250万部突破と、大人気! 世界の子どもたちの背中を、まさやとあきよは長年押しつづけているのです。
 この春、新しい気持ちで、2人と一緒に踏み出してみませんか?

 

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今日の1さつ

推理小説で、怪奇小説で、歴史小説。なんて贅沢な一冊!そしてどの分野においても大満足のため息レベル。一気に読んでしまって、今から次回作を楽しみにしてしまってます。捨松、ヘンリー・フォールズなど実在の人物たちに興味が湧いて好奇心が刺激されています。何よりイカルをはじめとするキャラにまた会いたい!!(読者の方より)

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