12月といえば、クリスマス。街はクリスマスツリーやイルミネーションで彩られ、うきうきした気持ちになりますね。
そんなクリスマスにまつわる世界の物語を集めたのが、『クリスマス物語集』(中村妙子 編訳)です。あたたかい部屋でゆっくり読みたい、珠玉の14編が収録されています。
収録されているのはこんなお話
北欧やイギリス、アメリカなど、世界各地の家庭で読みつがれてきた、クリスマスにまつわる14編の伝説や童話や詩が収録されています。
たとえば1つ目の「ちいさちゃんの箱」。主人公のちいさちゃんは、4歳で天国の門を叩くことになった、小さな天使です。天国でやんちゃばかりしていたちいさちゃんでしたが、イエス様の誕生のお祝いで、思わぬ活躍をすることに……。
アメリカのシナリオライターで俳優でもあったチャールズ・タズウェルによる、かわいらしい一編です。
5つ目の「クリスマス・ローズの伝説」は、北欧の代表的なクリスマス物語として知られています。
村人から嫌われ、恐れられている、森のはずれに住むどろぼう一家。一家は村の修道士に、「クリスマスイブにはイエス様の誕生を祝って、森が美しい花園になる」と話します。悪事をくりかえすどろぼう一家の元にそんな奇跡が起きるはずがない、と、修道士はその言葉を疑って森へ出かけますが……。
最近日本でもよく見かけるようになった、冬に咲く花、クリスマス・ローズの誕生秘話。女性初のノーベル文学賞を受賞したスウェーデンの作家、セルマ=ラーゲルレーブの作品です。
ほかにも、チャールズ=ディケンズによる「ベツレヘムの夜」、クレメント=クラーク=ムアによる「クリスマスのまえのばん」、ニューヨーク・サン新聞の社説「サンタクロースっているんでしょうか?」など、有名な物語も収録されています。
クリスマスを待つうれしさが増す、アドベント・カレンダーのような一冊
この本の編訳を手がけた中村妙子さんは、あとがきでこの本をアドベント・カレンダーにたとえ、「カレンダーの窓を一つずつあけていくように、毎晩お話を一つずつ読み、またはご両親に読んでいただいて、クリスマスを待つうれしさがひとしお増すような、そんな物語集ができたら」と記しています。
まさにその言葉の通り、少しずつ物語を読んでいくうちに、クリスマスへの気持ちが高まっていく、しあわせな一冊です。ぜひ手にとってみてくださいね。