チリの翻訳絵本、『いっぽんのせんとマヌエル』。この絵本は、作者のマリア・ホセ・フェラーダさんが、「線」が大好きな自閉症の男の子マヌエルくんと出会ったことから生まれました。きょうはこの絵本の魅力や特徴をご紹介します!
思わず線をなぞりたくなる! ずーっとつながる、1本の線をたどってすすむ絵本
絵本をひらくとあらわれる、1本の青い線。この線が、…と、町のたてものになったり、太陽がのぼる丘になったりしながら、ずーっとつづいていきます。線をたどりながらお話を楽しむことができます。
線は次のページにつながっています。ゆびでなぞりながら読みたくなります!
まるがすきな子、数がすきな子、動物がすきな子など、いろんな子がいて、みんなすきなものを通して、まわりから受けとる情報を整えるのだそう。
それぞれすきなものがちがうのは、誰でも同じですね。
日本語版で新たに加えられたのは… 文字を絵であらわす「ピクトグラム」! ピクトグラムってどんなもの?
日本語版の刊行にあたり、新たに加えられたのが「ピクトグラム」。あまり聞きなれない言葉ですね。ピクトグラムとは、文字を絵であらわした絵文字のことです。実際に絵本を見ると、文章の上にいくつかの絵がかいてあるのがわかります。
「せんに そって かわを わたる。」という文章の上に、「せん」「かわ」「わたる」の絵が。
読んでもらっただけでは理解しにくい、また、絵を見て理解することができるので、理解の助けになります。
絵本の最後で解説を書いている大和大学教授の藤澤和子さんによると、「ブランコに行きますよ」と話しかけてもわからない自閉症の子でも、ブランコのピクトグラムを見せると理解できる、といった例は多くあるそうです。
ピクトグラムの絵は、原書版の絵を手がけたパトリシオ・メナさんによるもの。絵本と同じタッチなので自然に見られます。
みんなで一緒に読める、やさしい絵本です。ぜひ楽しんでくださいね。