子どもの本の作家の方に「こどもとのあそび」を教えてもらう連載。第7回は、『ぎょうざのひ』『えんぴつのおすもう』などの絵本を出されているかとうまふみさんです。絵の得意不得意に関係なく、みんなでいっしょに盛り上がれる遊びを紹介してくださいました!
この遊びを思いついたのは、私が大学生の頃。絵が苦手な男子中学生の美術の家庭教師をしたときのことです。(苦手なものはしようがないよねぇ)とかわいそうに思いつつ、少しでも美術の時間が楽しくなるように、あの手この手で、いろいろ描いたり作ったりしました。
その中でヒットだったのが、この「じゅんばんお絵描き」。長い紙を4つ折りにして、顔→上半身→下半身→足と、体のパーツを交互に描いていくだけ。そのときに、前の人が描いた部分が見えないように折って、次の人に回します。うまくつながるように、つなぎめは次の面に少しだけはみ出して描きます。全部描いてから広げると……!! おたがいの絵が1つになり、思いがけなく面白い絵ができあがりました。男の子も私も大笑いして、2人で何枚も描きました。
その後、絵本を描くようになって、ワークショップをしませんか? とお誘いいただいたときに、このことを思い出しました。2人でも面白かったけど、人数が多いともっと面白そう。紙を大きくして、いろんな画材を使ってみよう。ワークショップでは案の定、面白い絵がたくさんできました!
小さい子が多い場合は、このやり方は少し難しい感じです……。それで息子といっしょに親戚の子が集まったときに、新しい実験をしてみました。大きな紙に、みんなで順番にゾウのパーツを描くのです。顔→鼻→耳→体→足という順番で、1人ずつ輪郭だけ描きます。その上から、自由に色や模様や背景を描いていくと……! なんとまあ、すてきなゾウさんができあがりました!
ゾウより鳥のほうが自由に描けそうだと思い、小さい子の多いワークショップでは「鳥」をテーマにしました。
この描き方の楽しみは、1人では想像もつかない絵ができるということ。時々「ここにそんなの描かないで!」なんて言ったり言われたり……という場面もありますが、それもまたよし。自分が思ってもみないものが1枚の絵に共存するのが、面白いんです。なにしろ、完成した絵はどれも本当にステキ!! 家族やお友だちどうしで描いても、きっと盛り上がりますよ。
かとうまふみ
1971年福井県生まれ。あとさき塾で創った『ぎょうざのひ』が初めての絵本。主な作品に『えんぴつのおすもう』『ぜったいわけてあげないからね』『しゃもじいさん』『かたつむりくん』『おにぎりのひみつ』『おもちのかみさま』などがある。挿絵に『どろろんびょういん』シリーズ(作 苅田澄子)など。北海道在住。