妖怪たちがあつまって、深夜にあたりを行進する「百鬼夜行」。子どもの妖怪たちも参加したいのに、「こどもは だめだめ」と置いていかれて……?
「妖怪」ときくとちょっぴり怖いけれど、この妖怪たちはかわいくって愛らしい! きょうは、夏の読み聞かせにもぴったり、石黒亜矢子さんが描く新しい妖怪絵本『おろろん おろろん』をご紹介します。
「こよいは おろろんじゃ」大人の妖怪たちが“おろろん”に出かけてしまい……
「ははさま どこいくの」
ある夜、妖怪・醜女の子どもがお母さんに聞くと、
「こよいは おろろんじゃ」
おめかししたお母さんは、仲間の大人の妖怪たちと、“おろろん”に出かけていってしまいます。
「いきたいなあ」
「いいなあ」
「こどもは だめだめ」
あーあ。がっかりした子どもたちでしたが、いいことを思いつきました! 子どもだけで、“おろろん”を決行するのです!
子どもだけで出かけちゃおう! 「これが わしらの おろろんじゃ」
それっとばかりに声をかけると、こんなにたくさんの妖怪の子どもたちが集まりました! みんな早く出発したくて、うずうず。
「おおごえだし隊」「びっくりさせ隊」「踊り隊」など、やりたいこと別のグループをつくって、さあ、れっつごー、おろろんじゃあ!
♪
おろろん おろろん
まっかな つきの よる
おろろん おろろん
まっくら よみち
おろろん おろろん
おばけの こうしん
みんなは歌いながら、元気よく進んでいき、ここぞとばかりに大さわぎ。めいっぱい遊びまわります。
ところが、ふと気づくと、あれあれ? ここはどこでしょう……。道がわからなくなってしまいました。
「おかあに あいたい」
「ちゃんと るすばん してれば よかった」
「こわいよう」
「かえりたいよう」
なにかこわいものに会ってしまったら、どうしよう……。
すると暗闇に何かが見えました。
「だれか きた!!」
さあ、子どもたちは、無事におうちへ帰れるのでしょうか?
どの妖怪が好き? じっくり眺めて楽しもう
大人たちがいない間に、子どもだけでまねをしてやってみよう! という、子どもたちがわくわくすること間違いなしのこのお話。ご紹介したとおり、ドキドキする場面もありますが、最後には「ああよかった!」と安心できるラストが待っています。そんなクラシックなストーリーも、魅力のひとつです。
また、石黒亜矢子さんが描く妖怪たちも注目ポイント。百鬼夜行に登場する古くからの妖怪もいれば、石黒さんオリジナルの妖怪もいますが、どれも子どもということでフォルムが丸っこく、一見ちょっと怖い妖怪も、見ていると愛着が湧いてきます。「どの子が好き?」と、親子で話してみても楽しいかもしれません。
夏の怖い話に登場することも多い妖怪ですが、この子たちはとてもポップでキュート! 新しいタイプの妖怪絵本です。ぜひ読んでみてくださいね。