あざやかな色づかいでわたしたちを魅了してやまない、エリック・カールさんの作品。『はらぺこあおむし』が有名ですが、ねこ科の動物がたくさん登場するロングセラー絵本もあります! 今回は、飼っているねこを探すお話『ぼくのねこ みなかった?』(おおつきみずえ 訳)をご紹介します。
「ぼくのねこ みなかった?」ねこを探して歩く「ぼく」
飼っているねこがいなくなってしまい、探しにいく「ぼく」。いろいろな人に、「ぼくのねこ みなかった?」とたずねて歩きます。
まず聞いてみたのは、シルクハットをかぶった男の人。
「ぼくのねこ みなかった?」
男の人が指さしたほうへ行ってみますが……現れたのは、おりの中のライオン!
「これは ぼくの ねこじゃないよ。」
「ぼく」は別の人のところへ向かいます。
同じように、さまざまな人にたずねて歩き、「これは ぼくの ねこじゃないよ」をくり返す「ぼく」。さて、ねこは見つかるのでしょうか?
ねこの仲間たち、人種や民族を超えた人々が登場
本作では、いろいろな人にねこのことをたずねては、ページをめくるたびに“ぼくの ねこじゃない”動物たちが出てくるのですが、おもしろいのは、その動物たちがみんな「ねこ科」であること。ライオンのほか、オオヤマネコ、ピューマ、ジャガーなどの、ねこの仲間たちが登場します。
見返し(表紙をめくったところ)には、本にでてくる動物たちがずらり。ごくシンプルな絵ながら、模様や体つきなどの特徴がとらえられているのは、さすがエリック・カールさんです!
もうひとつユニークなのは、「ぼく」がたずねて歩く人々が、人種も民族もさまざまであることです。森の中の先住民族らしき男の人や、色あざやかな服をまとった黒人の女の人たち……。王冠をのせた、どこかの王族らしき人まで登場します! これは、「ぼく」がねこを探してどこまでも冒険していることを示すと同時に、子どもは国や民族の壁を簡単にとびこえられる、ということも表しているのかもしれません。
ぜひページをめくって、ねこの仲間たちや、「ぼく」を導く人々に出会ってみてください。手のひらサイズで持ち運びに便利な、ミニ版のサイズもありますよ!