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今週のおすすめ

色あざやか! 『ちいさなおうさま』からはじまる、三浦太郎さんの絵本3部作

日本国内のみならず、ヨーロッパでも大注目されている絵本作家、三浦太郎さん。その代表作のひとつが、『ちいさなおうさま』です。今回は、世界各国で翻訳されている同作と、いっしょに読みたい『おおきなおひめさま』『おうさまのこどもたち』の3作をご紹介します。

ひとりぼっちですごしていた小さな王さまの世界が、家族に出会い、色あざやかに。



 『ちいさなおうさま』の主人公は、タイトル通り、体の小さな王さまです。大きなお城にたくさんの家来がいて、食卓もおふろもベッドも大きくてりっぱです。でも、ひとりぼっちの王さまの世界は、楽しいものではありませんでした。
 あるときお姫さまを迎え入れ、結婚して子どもたちが生まれたことで、王さまの世界は広く明るいものへと変わります。
 
 ひとりぼっちですごしているときには真っ黒だった画面が、家族ができてからはカラフルに変わり、小さな王さまの気持ちの変化がくっきりと現れています。
 
 

テーブルの上の料理を見ても、ひとりの時と家族みんなの時で、ちがっているのがわかります。

 
 目にも楽しいこの絵本は海外からも注目され、現在12の言語で翻訳版が刊行されています。
 

小さな王さまの奥さんは、こんなに大きかった! 子どもたちの夢は? 『おおきなおひめさま』と『おうさまのこどもたち』

 『ちいさなおうさま』の発売から3年後に発売されたのが、『おおきなおひめさま』です。『ちいさなおうさま』の中で王さまが結婚したのは、王さまとは正反対の、大きなお姫さまでした。『おおきなおひめさま』では、そのお姫さまの生い立ちが明かされます。


 大きなお姫さまは、はじめは葉っぱに乗るほど小さかったのですが、どんどん、どんどん大きくなって、お城の塔よりも大きくなってしまうのです!

 
 

 でも、実はこれにはわけがありました。いったいお姫さまは、どうなってしまうのでしょうか?
 
 この本はお姫さまの大きさを表現するため、『ちいさなおうさま』よりも縦長の形になっているほか、上に大きく開くしかけのページもあります。
 
 次に発売されたのが、3作目の『おうさまのこどもたち』です。『ちいさなおうさま』では小さかった10人の子どもたちが大きくなって、自分たちの将来について考えます。


 王家の子どもというと、将来は王や女王になるものと思ってしまいがちですが、この子どもたちの夢は実にさまざま! お城を飛びだして町を見て歩き、お花屋さんや、自動車の整備をするメカニック、保育士さんに大工さんなど、おのおののなりたいものを見つけていきます。

 
 このお話には、「子どもたちはなんにでもなれる、無限の可能性を持っている」という三浦さんの思いが込められています。刊行時に三浦さんがインタビューに答えた様子を、こちらの記事でご紹介しています。
 
 

独自の技法で描かれる、シンプルで味のあるイラスト

 三浦太郎さんは、ボローニャ国際児童図書展で行われる絵本原画展で何度も入選して海外出版社からの注目をあび、スイスの出版社から絵本デビューしたという異例の経歴の持ち主。絵本の内容や対象年齢に合わせて、さまざまな技法を組みあわせています。『ちいさなおうさま』3部作では、イラストのパーツをひとつずつ紙で切り出し、それをスキャンして取り込んで色をつける、という手間をかけて、絵を描いています。

『おうさまのこどもたち』制作風景より


 この技法により、全体は直線や円などで構成されたシンプルな見た目ながら、手で紙を切った独特の風合いが出て、あたたかみのある絵が出来上がっているのです。
 また、絵には遊び心も満載です。たとえば、『おうさまのこどもたち』の9ばんめの子どものシーンには、三浦さんが影響を受けたアーティストたちが登場。アンディ・ウォーホルとバスキアをはじめ、偉大なミュージシャンたち、映画監督の巨匠もいますよ。そして、ご本人の後ろ姿も……。
 
 幸せいっぱい、夢いっぱいで幸福感に満ちた物語と、色あざやかで見飽きない楽しいイラスト。見どころがつまった3作です。どの本から読んでも楽しめるので、ぜひ気になったものから、お手にとってみてください。
 

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