あなたの家のおむすびはどんな形をしていますか? さんかく? 俵型? まんまる? 『おむすびころりんはっけよい!』は、とあるおむすびの世界で、いがみあうさんかくと、まんまるのおむすびのひと悶着を描きます。デビュー作となる森くま堂さんのテンポのよいお話に、ベテランの絵本作家・ひろかわさえこさんが想像力ゆたかな絵で味つけをし、ユニークな絵本ができました。
さんかくおむすびvsまんまるおむすび
あるところに、さんかくおむすびの国と、まんまるおむすびの国がありました。同じおむすびといえど、形のちがいで何かといがみあう両者。
「みなのものー。ふじの おやまも さんかくじゃ。さんかくほど うつくしいかたちが このよに またと ござろうか?」と、さんかくおむすびの殿様が言えば……
「みなのしゅう。おてんとさまかて まんまるや。まんまるが いちばん えらい。」と、まんまるおむすびの殿様が民に呼びかけます。
こうして2国のいがみあいが加熱する中、塩っ気の多い(おむすびだけに!)さんかくおむすびの若者が、大胆な行動に出ます。おかか、シャケ、からあげなど、両者が共同で使っていたおむすびの「具」を育てる畑に、囲いをつくり、まんまるおむすびを入れなくしてしまうのです。
さあ、追い詰められたまんまるおむすびたち。これは、いよいよ戦のときだ……! 殿様同士の大相撲がはじまります! 勝負のゆくえや、いかに?
森くま堂さん、ひろかわさえこさんの出会いから生まれた絵本
この絵本は、森くま堂さんとひろかわさえこさんの出会いから生まれました。数年前にお互いを紹介され、森くま堂さんの書いたお話を読んでこれはおもしろい! と思ったひろかわさえこさん。このユニークなお話の世界を、想像力ゆたかな絵で、さらに楽しく広げました。
殿様が怒ると梅干しが落っこちそうになったり、頭に血がのぼるあまりとびちる汗も、ごはんつぶだったりと、「おむすび」の世界にこだわった、細かなあそびが楽しめます。このおもしろさが分かるのも、私たちに身近な「おむすび」という題材ならでは。よく観察すると、文章には描かれませんが、さんかくとまんまるのおむすびの間に、まるでロミオとジュリエットのような、小さなロマンスもありますよ。探してみてくださいね。
絵本の楽しさを存分に味わえる絵本です。どうぞお手にとってみてくださいね。