2018年秋、ドイツ児童文学賞の児童書部門を受賞した、『ぼくはアフリカにすむキリンといいます』(岩佐めぐみ 作/高畠 純 絵)。この賞をとった本は、ドイツ中の子どもたちが読むくらい、広く親しまれるそうです。きょうは、そんな大きな賞を受賞したこの作品をご紹介します!
たいくつなキリンは、手紙を書くことを思いつく
アフリカの草原にすむ、1頭のキリン。青い空にやさしい風、大好きなアカシアは食べ放題と、言うことなしの環境でくらしています。
でも、キリンはたいくつしていました。それは、友だちがいないから。キリンは、とびっきりの友だちがほしいな、と思っていました。
そんなある日、キリンはふと「手紙を書いてみようかな。」と思いたちます。キリンと同じようにたいくつしていたペリカンがぶら下げた、「郵便配達はじめました」というポスターを見たからです。
手紙を書いたら、ぼくも、配達するペリカンも、ちょっとたいくつじゃなくなるな。キリンは思いきって手紙を書くことにしました。
手紙をたくして、返事を待って……たいくつな時間が、わくわくする時間に
手紙になにを書くか考えながら、うきうきした気持ちで眠ったキリン。翌朝、書き上げた手紙をペリカンにあずけ、「地平線の向こうで、最初に会った動物に渡してほしい」と頼みます。返事ももらってくるようにお願いしました。さあ、 たいくつだった時間は、どきどきわくわくの待ちどおしい時間にかわりました。
まだかまだかと、いっしょうけんめい、遠くを見ていたので、キリンの首は3センチほどのびてしまいました。
やがてペリカンがもど! 手紙を読んで返事を書いたのは、クジラ岬にすむペンギンでした。
それからキリンは、ペンギンと文通をはじペンギンの「首がないかもしれない」「色はおおまかに白と黒」「くちばしがある」といった手紙を読んで、いったいどんな姿形をしているのか気になり、ペンギンをまねた格好をして、地平線の向こうの友だちに会いにいこうと考えます。
どこかのだれかに、思いをはせる。世界中で読まれている楽しいシリーズ!
この本は、2001年に刊行され、今回ドイツ文学賞を受賞したドイツ語版は、2017年に出版されました
ほかにも、韓国、 台湾、 ブラジル、 メキシコ、 中国、 ニュージーランド、 トルコで刊行されていて、これからロシア、 ギリシャ、 ルーマニア、 ベトナムでも出版される予定です。
こちらが、世界各国の翻訳版! 右下がドイツ語版です。
このシリーズはほかにも、『わたしはクジラ岬にすむクジラといいます』、『オットッ島のせいちゃん、げんきですか?』、『おいらはコンブ林にすむプカプカといいます』があります。
行ったことのない、見たことのない場所やそこに住む人に思いをはせる……そんなロマンのあるシリーズです。ぜひ読んでみてくださいね。