春休みになると、おじいちゃんおばあちゃんのいえへ遊びにいく子も多いでしょうか。今週は、『なぞなぞのみせ』の作者、なかざわくみこさんの久しぶりの新刊、おばあちゃんと孫のなっちゃんのあたたかなやりとりを描いた『おばあちゃんとおんなじ』をご紹介します。
おばあちゃん、こどもだったんだね!
おじいちゃんとおばあちゃんの家にあそびにきた、なっちゃん。おじいちゃんは会うたびに、こういいます。「なっちゃんは、おばあちゃんに よく にているなあ」。でも……
わたしって こんな かお?
なっちゃんの心はちょっと複雑です。
そんななっちゃんと、おばあちゃんは、ふたりで買い物へ行きます。するとその帰り、おばあちゃんが「ないしょのいいところ」を教えてくれるというのです。どんどんすすむおばあちゃんを心配しながらしげみをくぐると……わあ! そこは、一面のたんぽぽ畑!
「おばあちゃんは たんぽぽ すきなの?」
「うん、だいすきだよ」
「おんなじだ! わたしも たんぽぽ すき」
そして、なっちゃんは、おばあちゃんがなっちゃんくらいだったときのこと–––たんぽぽではなかんむりをつくったことや、おつかいにいったこと、妹のめんどうをみたことなど、小さなころの思い出をはじめてきくのでした。
そこで、なっちゃんは、はたと気がつきます。
「へーえ! おばあちゃん、こどもだったんだね!」
おじいちゃんの待っている家に帰ったなっちゃん。またまた「ふたりは よーく にているよ」と言われて、こんどはちょっとうれしい気持ちになりました。
ひみつのたんぽぽ畑へいくまでのわくわくした道のり、おばあちゃんとふたり秘密を共有したようなくすぐったい気持ち、なっちゃんといっしょに小さなうれしさが積み重なってあたたかな気持ちになる絵本です。
猫や犬をさがしたり、こまかい絵のあそび見るのもたのしい
なかざわくみこさんのデビュー作は、『なぞなぞのみせ』。石津ちひろさんがつくったなぞなぞの答えを、絵からさがすシリーズの1冊です。なぞなぞをとくおもしろさはもちろん、どこかなつかしい絵や、こまかく描きこまれたお店のなかのようすをじっくり見て楽しめることから、発売以来大人気の絵本となっています。
今回もそのたのしいあそびがあちこちにありますよ! なっちゃんが追いかける猫や、近所の飼い犬をつぎの場面でもみつける楽しみがあったり、なっちゃんとおばあちゃんが買い物へ行くスーパーの商品にどこかで見たことのあるものや、変わったものがあったり。
担当編集者からはこんなことも教えてもらいました。
ふたりが買い物から帰ってきたあと、おじいちゃんが待っている部屋に入ると、最初の場面からものの配置が変わっていますよ。おじいちゃんがどんなお片づけをしたか注目してみてください!
春の季節に、おじいちゃんおばあちゃんと一緒に、ぜひ読んでみてくださいね!