この夏、みなさんは何かチャレンジしてみたいこと、あるでしょうか? 長い夏休み、なにかひとつ、「やったぞ!」ということを見つけると、きっと夏がおわったあとも、ずっと心にのこる思い出になるの。今日は、そんな達成感とともに、思いっきり夏を感じられる絵本を紹介します。はたこうしろうさんの『なつのいちにち』です。
暑い暑い夏の日、男の子はひとりで家をあとにします。あたまに大きな麦わら帽。右手には背の高い。
「きょうはぜったいつかまえる。ぼくがひとりでつかまえる。」
立ちならぶ家々のあいだをぬけ、まっさおな空のしたに広がる海ぞいの道を走り、草むらをとびこえ……ひたすらその先をめざします。
ページをひらくたびに、どこかなつかしい田舎の風景が広がります。いつのまにか、草の青々とした香りがしてきたり、セミの鳴き声がきこえてきたり。自分のまわりできこえていた音はとおくなり、まるで、男の子とともに、絵本のなかの夏に入りこんでいるかのような、ふしぎな感覚になっていきます。
そして……
たどりついた木の上に、お目当てのもの。それは、クワガタ!!
ジャンプしたり、木にのぼってみたり、なんどもなんども、汗だくになりながら、泥まみれになりながら、男の子はクワガタに挑戦します。そして、ようやく……
つかまえた! つかまえた! つかまえた! つかまえた! ツカマエタ!
絵本をとおして男の子といっしょに夏をかけぬけたからこそ、自分の手でつかまえた、自分だけのクワガタを手にした男の子の「できた!」というすがすがしい達成感が、こちらまでうれしく伝わってきます。
五感で夏を感じられる、さわやかな絵本。本を閉じると、夏の日差しのなかにとびだしたくなるかもしれません! 絵本で「夏」を、存分に味わってみてくださいね。