春になるとうれしいのが、そこここに咲きはじめる花たち。いつも何気なく通りすぎていた近くの家の庭や、道端の花壇、木々のふもとが、タンポポやチューリップ、菜の花など元気な色にあふれていることに気がつき、ついつい足を止めてしまったこと、ありませんか? 冬のあいだも、自然たちはせっせと春への準備をおこなっているんですね。きょうは、「新・自然きらきら」という写真絵本シリーズから、春のおとずれを描いた1冊をご紹介します。
ユニークな写真絵本シリーズ、「新・自然きらきら」
まずは、この写真絵本シリーズ「新・自然きらきら」についてご紹介します。
「写真絵本」というと、ドキュメンタリーや、図鑑に近いものを思い浮かべて「ちょっととっつきにくいな…苦手だな…」という方もいるかもしれませんが、このシリーズは、そのどちらとも違い、お話に絵が添えられた「絵本」に近い写真絵本です。絵の代わりに写真が添えられていると考えるとわかりやすいかもしれません。
1冊ごとに生き物や花など自然の主人公がいて、そのお話を楽しんでいるうちに自然も観察できるというユニークな構成になっています。もちろんきちんとした事実に基づいて描かれているので、入り口は入りやすく、中身は学びの多い、はじめての写真絵本におすすめのシリーズです!
きょうはこのシリーズのなかから春を描いた1冊をご紹介します。
ナナホシテントウムシを案内係に春のきざしをみつける『はるをさがしに』
『はるをさがしに』(久保秀一 写真/七尾純 文)はテントウムシが主人公のお話。冬のおわり、すこし早くめざめたテントウムシが、ほかの生き物たちに春のおとずれを知らせにでかけます。
のはらが あかるい ひかりに つつまれました。
かさこそ かさこそ
おちばのしたから でてきたのは てんとうむし。
「もう はるが きたのかな……。
そうだ。みんなを おこしてあげようっと」
でも、みんなは「まだ はなが さいてないよ」と、うとうと……。
そこで、テントウムシは、ハルジョオンやタンポポなど、春の花たちにお願いをしにいくことに! 「ね、ね、はやく さいてよ。はなが さかないと はるが こないよ。」
さあ、テントウムシくん、春を見つけられるでしょうか?
巻末には解説も掲載されています。木々や草花は、気温の足し算をして芽吹きの準備にスイッチが入ることや、さまざまな昆虫たちの冬越しの仕方、冬眠の仕方など、お話の中のできごとの、裏付けの知識をここで学ぶことができます。
ほかにも! 春に読みたい「新・自然きらきら」シリーズの2冊
シリーズには、ほかにも春を舞台にした巻がありますよ。
ひとつは、クロオオアリを主人公にした『はたらきありさん』。春、サクラが咲きはじめる頃に地上にあらわれるアリ。はじめの仕事は、なんと巣の修理なんですって! 巣の入り口をふさいでしまった桜の花びらを、一生懸命にどかしている、おもしろい写真が見られます。
もう1冊は、『いただきます』。夏の風物詩のキリギリスですが、もちろんそれは成虫で、子どもが生まれるのは春。食欲おう盛なキリギリスの子どもは、タンポポが大好きです。でも、毎日食べていたら、ある日、タンポポが倒れて花を閉じてしまいました!
シリーズは全12巻。前身の「自然きらきら」(12巻)もあります。一部在庫がないものもありますが、ぜひ注目してみてくださいね。