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拝啓 かこさとしさま

夢眠書店 店主

夢眠ねむ 〜拝啓 かこさとしさま〜

……この「拝啓」を書くのに、緊張して1ヶ月もかかってしまいました。それくらい私にとってかこさんは大きな存在で、こんな機会をいただけるとは思ってもいなかったものですから。

はじめまして、夢眠ねむと申します。ゆめみ、と読みます。
4年前から東京・下北沢で本屋を経営しております。
幼い頃からかこさんの絵本を読んで育ち、今は自分の店でかこさんの絵本を販売させていただいております。いつかお目にかかってお礼を伝えたかったのですが叶いませんでしたので、どうかこの手紙が届きますように。

 改めまして『からすのパンやさん』50周年おめでとうございます!
はじめて読んだ時から今まで、ずっと大好きで大切な一冊です。

 私は商店街にある魚屋の娘として生まれました。
当時の私がそこまで考えて読んでいたかは怪しいですが、商売をしている家の描写が細かくされていますよね。『からすのパンやさん』は生まれたての赤ちゃんたちのお世話で店が傾くけれども、愛情たっぷりに育てているのが伝わる。大人になってから見返すと、うちの両親もこうやって忙しい中で育ててくれたんだなあと心に沁みます。そして成長した子どもたちがきっかけとなって、家族みんなの力でパン屋さんが大繁盛する! という展開が痛快で大好きです。
艶々と美味しそうなパンの絵もお気に入りで、パンがずらり並ぶページを延々に見続けていました。今日こそ全部見尽くすぞ、と気合を入れても毎回こんなパンあったっけ!? と発見があって。もしこの中から3つ買えるなら”いかパン”は絶対外せないけどあとふたつは何にしようかなと妄想したり、具は入っているのかなと味を想像して涎を垂らしたり。特設サイト(*)で公開されているパンの解説を読んで、この面白いモチーフのチョイスはこういうルーツからなんだ! と今もわくわくさせていただいています。

 そして40年後に出た続編! 本屋さんで見かけた時は本当にびっくりしました。まさか続きを読める日が来るなんて想像もしていなかったです。
『からすのおかしやさん』あとがきの「きまって、続きをかけと、たびたび催促をいただいてきました。」の一文に笑ってしまいました。名作の続きを書くってとっても大変なのに、そんなファンの無茶振りに答えてくださるかこさんはさすがです。それも、大好きなオモチちゃん、レモンちゃん、リンゴちゃん、チョコちゃんたちが大人になって商売を始めるお話だなんて!

「パンやさんの オモチちゃんも すっかり おおきくなって、りっぱな わかもの オモチくんになりました。」の一文を読んで、
「さかなやさんの ねむちゃんも すっかり おおきくなって、りっぱな わかもの ねむさんになりました。」

と幼馴染のような気持ちで自分に重ねてしまって、ちょっとうるうる。パン屋のオモチちゃんは蕎麦屋になったし、魚屋のねむちゃんは本屋になったけれど、小さい頃から親を見ていたから商売人の心はずっとあるよねと共感しながら4冊ぺろりと読んじゃいました。パン屋さんのパン一覧も圧巻でしたが、それぞれが新しく始めたお店の商品にこれまたびっくり。特に蕎麦屋さんのメニューは何ページにもわたってどんどん新作が出てきて、見たことない創作メニューだらけで大笑いしました。小さい頃に読んでいたら「食べたい食べたい!」とゴネていただろうなあ。もう大人なので、かこさんの絵をじっくり見て(正解はわからないけれど)自力で再現してみたいものがたくさんです。

 かこさんは私たちのことを「子ども」と言わずに「子どもさん」と言ってくださいましたよね。対等な存在として馬鹿にせず、真摯に作品を作ってくださったこと、とても尊敬しています。私の本屋も子どもさんがたくさん来てくれているのでその姿勢を見習った店づくりをしていきたいです。
これからも大好きな作品として本棚の一等地に置かせていただきます。
100周年も楽しみです!

夢眠ねむ

(*)からすのパンやさん50周年特設サイト(運営:加古総合研究所)
https://www.kakosatoshi.com/


夢眠ゆめみ ねむ
夢眠書店 店主。多摩美術大学卒業。
10年間続けたアイドル活動を引退後、本好きのためではなくこれからの本好きを育てる「夢眠書店」を下北沢で開業。
そのほか出版社「夢眠舎」の設立、キャラクターデザインやプロデュース、コラムやパレード脚本執筆など活動は多岐に渡る。

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