トマト、じゃがいも、きゅうり、ねぎ…。どれも家の台所によくある野菜ですね。栄養たっぷりの野菜が主役の絵本はいろいろあります。でも、きょうご紹介する『ぞろりぞろりとやさいがね』の主役は、その台所で忘れられ、古くなってしまった野菜たち! しわしわになったり、くさったり、芽が出たり…「やっちゃった〜」ということ、みなさんもあるのではないでしょうか? 忘れられた野菜たちが、怒って立ち上がります!
真夜中、冷蔵庫から出てきたのは…
家の人が寝静まった真夜中、だれもいない台所で、冷蔵庫がぎぎぎぎ ぎぎぃー…と開きます。中から出てきたのは、きゅうり。ずいぶんと細くなっているようです。
「もう、がまんできない!」というきゅうりに続いて、ごぼうとトマトも出てきました。
別のくらやみからは、芽がにょきにょきと出たじゃがいもたちも! 「こんなになるまで、ほっておかれたのだ。もう おれたちのことなど、わすれてしまったのかもしれん。く、くやしい。」
涙をにじませる、忘れられてしまった野菜たちは、めぐまれない野菜たちの集まりがあると聞き、家の外に出ました。すると、他の家からも、ちいさな影が、ぞろりぞろり…。あちこちの家の野菜たちが、いっせいに集まってきます。
古くなった野菜たちの、怒りのさけび!
集まった野菜たちは、あわれな姿を見せあいます。しなびて先が曲がってしまった長ねぎ。ひからびて、元よりもっと細くなったごぼう…。一見元気そうなかぼちゃも、後ろを向けば、くさってぼろぼろ。かぼちゃの大きなくぼみには、野菜たちも思わず「おおぉ〜」と声を上げました。
人間への怒りが高まった野菜たちは、こうなったらもっと人間を困らせてやる! と、一致団結して復讐をちかいます! 「りょうりに しのびこんで、おなかを こわしてやる!」などという物騒なことばも…。
ところがその時、ごぉぉぉぉ〜〜〜〜ん… お寺の鐘が鳴りました。現れたのは、みみずのおしょうさん。
「やさいたちよ、そう くさるでないぞ。」野菜たちをさとすおしょうさんの言葉とは…?
野菜はおいしく食べたい…!
つい野菜をほったらかしてしまった経験、みなさんにもあるのではないでしょうか。そんな身近なことをテーマにした、クスッと笑えるおはなしです。
読んだあとは、野菜が愛おしくなるかも? お家の野菜を思い出しながら読んでみてくださいね!