『一瞬の風になれ』(講談社)をはじめとした数々のヒット作を世に送り出している作家、佐藤多佳子さんが満を持して筆をとった、初の長編エンターテインメントシリーズ「シロガラス」。子ども神楽の踊り手に選ばれた子どもたちが直面する、「白烏神社」にまつわる数々の謎とは––––? 『精霊の守り人』の著者、上橋菜穂子さんをも唸らせた傑作シリーズをご紹介します。
主人公は子ども神楽の踊り手に選ばれた、6人の子どもたち
舞台は、狛犬のかわりにカラスの石像が置かれ、ある3つの謎を秘める白烏神社。
千里は、この神社に住む小学5年生で、子ども神楽の剣士をつとめる古武術の天才少女です。子ども神楽の踊り手に選ばれた千里たちクラスメイトの6人は、雷がとどろく夜に、ふしぎな力が宿っているという星明石にいっせいに触れたことで特殊な能力にめざめます。
テレポートができる能力、人の心が読める能力、人に言うことを聞かせられる能力……6人は、自分の体に起きた異変におどろき恐れながらも、その能力をコントロールするために訓練を重ねることに。
そして、その能力の発現をきっかけに、6人は、白烏神社に代々伝わる3つの謎に図らずも迫っていくことになるのです––––。
リアリズムの名手が挑んだ、長編ファンタジー
本シリーズは、『一瞬の風になれ』や『明るい夜に出かけて』(新潮社)などのリアルな世界を描いたヒット作で知られる作家、佐藤多佳子さんがはじめて手がけた非現実的な世界を描いた作品でもあります。
「守り人」シリーズや「鹿の王」シリーズの著者、上橋菜穂子さんは、1巻目の帯に「懐かしいのに新しい。リアリズムの名手がファンタジーを書くと、こうなるのか!」とメッセージを寄せるなど、本作を絶賛。5巻目刊行時にはKaisei webに書評を寄せてくださいました。
「早く読みたい、でも、読み終わりたくない」上橋菜穂子/作家
日本古来の伝統芸能とSF要素が絡み合う、ジャンル無用のエンターテイメント!と聞くとあまりに突飛な設定に思えるかもしれません。ところが、それによって唯一無二の面白さが生まれているのです。
個性豊かな6人の子どもたちそれぞれの繊細な心理描写、子どもたちの複雑な人間関係をみごとに描き、そのありえない設定をも、地に足のついたリアルな世界に落とし込む……まさにこれはリアリズムの名手のなせる技でしょう。
2024年11月には、ファンが長年待ち望んでいた6巻目『シロガラス6 ひみつの旅』が刊行され、物語は新たな展開を見せています。ぜひこの機会にお手にお取りください。