「やかましむら」は、リンドグレーン作の読み物シリーズ。スウェーデンの田舎にある「やかましむら」を舞台に、そこに住む子どもたちの楽しい毎日を描きます。そのなかの1冊『やかましむらのこどもの日』(リンドグレーン 作/ヴィークランド 絵/やまのうちきよこ 訳)をご紹介します。
「こどものひ」に、小さなシャスティーンを喜ばせよう!
「やかましむら」には、家が3軒たっています。そこに暮らす子どもたちは、全部で6人と半分。ラッセとボッセと、語り手である「わたし」とブリッタと、アンナとオッレです。シャスティーンという小さな女の子もいますが、まだ2歳なので、数には入れられないのです。
ある日、「ストックホルムのこどものひ」というのがあると知った子どもたちは、やかましむらでも「こどものひ」をつくることに決めました。おもしろいことをうんとやって、小さなシャスティーンを喜ばせてやるのです。
「こどものひ」は朝からはじまります。子どもたちは、ベッドにいるシャスティーンにココアとあじつけパンを持っていって、お気に入りの歌をうたったり、子馬に乗せたり、ぶらんこに乗せて力いっぱい押したりしてあげます。
シャスティーンはそのたびに、泣いたり笑ったり。楽しいときは「ヘイヨム フェイヨム」といって喜びますが、みんなのアイデアはときどき、的がはずれていることもあるようで……?
ジェットコースターがわりに2階からシャスティーンをロープでつるして上げ下げしたときには、村じゅうに響きわたる泣き声にリーサおばさん(シャスティーンのお母さん)がとんできて、すかさず止めに入りました。そこではじめて「こどものひ」のことを聞いたおばさんは、あるアドバイスをします……。さて、「こどものひ」は成功するのでしょうか?
子どもたちの自由な発想がおもしろい
本作では、子どもたちが「シャスティーンを喜ばせるために」思いついたことを大胆にこなしていく場面が印象的。時として読み手の度肝をぬくような、子どもたちならではの自由な発想が存分に描かれます(2歳のシャスティーンにはあまり受け入れられなかったようですが!)。さらに、大人からのアドバイスによって、「シャスティーンが本当に喜ぶこと」を考えられるようになる子どもたちの成長も見どころです。
リンドグレーンはスウェーデンの児童文学作家。「やかましむら」は、全6作(『やかまし村の子どもたち』『やかまし村の春・夏・秋・冬』『やかまし村はいつもにぎやか』(以上岩波少年文庫)、『やかまし村のクリスマス』『やかまし村の春』(以上ポプラ社)、『やかましむらのこどもの日』(偕成社))からなる人気シリーズです。そのなかでも本作は、小学校低学年向けに書かれており、「やかましむら」シリーズをはじめて読む子どもたちにおすすめです。本作のあとは、ぜひシリーズのほかの本にも手を伸ばしてみてください。