icon_twitter_01 icon_facebook_01 icon_youtube_01 icon_hatena_01 icon_line_01 icon_pocket_01 icon_arrow_01_r icon-close_01

作家が語る「わたしの新刊」

北海道を舞台にしたノンフィクション絵本『ナキウサギの山』本田哲也さんインタビュー

2021.06.15

北海道に生まれ、自然や動物たちの世界に魅せられ絵を描き続ける本田哲也さんが、東ヌプカウシヌプリ山での実体験をもとに描いたノンフィクション絵本『ナキウサギの山』を刊行しました。ナキウサギは、ピチ、ピチッといった独特な鳴き声で知られる、日本では北海道にだけ生息する動物です。この本について、著者の本田哲也さんにお話を伺いました。


あとがきに『ナキウサギの山』の構想をはじめてから7年とありました。本として完成するまで、どのようなことがありましたか。また、ナキウサギについて教えてください。

ナキウサギは北海道の日高山脈や大雪山など高山の岩場に生息しています。動物園では飼育は困難なので展示していません。出会うために十勝岳や東大雪の山々に通いました。せっかく取材地に登頂しても出会えないこともありました。出会っても断片的であったり。幸運なことに3年前、子ウサギを2ヶ月間、追跡観察する機会に恵まれました。その内容を、そのまま絵本として構成しました。

本田さんはこれまでも、ヒグマやエトピリカなど、北海道特有の生き物たちに焦点をあてた絵本を出版されています。生き物たちへ関心をよせるようになったのはいつ頃からでしょうか。

幼いころからです。幼児期は、驚きと感動そして表現の繰り返しでした。年を取った今でも変わりません。

ナキウサギも含め絶滅が心配される生き物たちも多いかと思います。長く北海道に住まわれている本田さんですが、周りの自然に変化はありましたか。

台風とは全く無縁の北海道でしたが、2016年8月、10号台風の影響でまわりのあらゆる河川が氾濫しました。私の毎日の散歩コース(清水町ペケレベツ川河畔林)は同時に多くのいきものたちのすみかになっていました。でもすみかの河畔林が、全て流出、家々も流され人命も失いました。地球の温暖化と関係があるのでしょうか?

本田さんのアトリエのもまわりはどのような様子のところなのでしょうか?

私は、趣味と実益をかねて野菜の自然栽培をしています。無農薬、無肥料です。でも、近くの森の山菜には負けます。もちろん、おいしいし、無農薬で、ミネラルがいっぱいです。また、森の木を伐採し薪にもしています。少しでも自給自足と考えて生活しています。アトリエ周辺の森の恵にとても感謝しています。

いま気になっている題材があれば教えてください。

今、気になっている、テーマはエゾリスの子育てです。僕のアトリエには、毎日エゾリスやキツネが寄ります。現在、子育て中のエゾリスがいます。7匹の子リスを育てているエゾリスの母親の様子を観察しています。エゾリスは、喜怒哀楽がはっきりしていて表情も豊かなので、制作も楽しいです。すでにデッサンもかなり制作しています。今年の秋には提案できそうです

ありがとうございました!


本田哲也

1951年、北海道生まれ。自然や動物たちの世界に魅せられて絵を描き続ける。著書に『海をわたるしかたち』『エトピリカの海』『こぐまの森』(偕成社)、『トカプチのめぐみ』(山と渓谷社)など。北海道上川郡清水町在住。

 

この記事に出てきた本

バックナンバー

今日の1さつ

2024.11.23

本当に全部がすてきな絵本でした。コロナで疲れて暗い気分になる今、とても優しい気持ちになれて、静かにふるさとの小樽の海を想ったりします。想像するときはどこまでも自由です。本当に本は今とても大切なものだと思います。(60代)

new!新しい記事を読む