「じーっ」となにかを見つめている男の子。視線の先にはなにがあるのでしょう? 主人公の男の子とその子が見ている世界を、交互にたどっていく絵本『じーっ』。「じーっ」と目をこらせば、いつもの風景にも、小さなおどろきや、きらっと光る瞬間がかくれているかも? 著者の中山さんにこの絵本についてお話しを伺いました!
中山さんはじめての、作絵の絵本ですね。完成してみていかがですか?
はじめての作絵ということもあり、とても感慨深いです。絵だけでなく、言葉やストーリー、構成も自分の中からすべて生まれたものなので、なんだか自分の分身を作ったような気持ちですね。
お子さんがじーっとなにかをみつめている姿をみて、この絵本の企画のアイデアが生まれたと伺いました。そのエピソードについてぜひおしえてください!
よく子どもと近くの公園へ遊びに行くのですが、ちょうどその日は子どもの通う学校の友だちたちとばったり会って、子どもたちみんなでしゃがんでアリの巣を夢中で観察していました。その姿がなんとも愛らしく、また自分も小さい頃に同じようなことをしていたなぁと感じて、絵にするきっかけになりました。
子どもと過ごしていると、まさにこの絵本のように「じーっ」と、ひとところをみつめながらおなじところにとどまる時間というのがよくあって、とても共感しながら読みました。「じーっ」の先が意外なもの、という場面があるのもおもしろいですよね。中山さんの子どもの頃の体験も入っていますか?
もちろん実体験がかなり入っています。子供の頃は、雨粒や光の陰影、水面のゆらぎなど、なにかつかみどころのないような、ずっと見ていられる綺麗な景色が好きでしたね。とくに窓の外を眺めるのが好きで、大人になった今でも、ついボーッと窓の外を眺めてしまいます。
今回の絵本で登場する男の子もそうですが、イラストの仕事でもよく描かれている、丸っこいフォルムのキャラクターたちはどういったふうに生まれたのですか?
なんだか丸くて太っている形って、とても幸福感がある気がしていて。自分なりに可愛さや安心感、幸福感のあるキャラクターを模索していくうちに、どんどん丸っこくなっていきました。今ではよく「おまんじゅうみたいだね」とも言われます。おまんじゅうも僕のなかではとても幸福な食べ物なので、なんだかうれしい気持ちです。
さいごに、読者の方にひとことお願いします!
なにげない普段の生活の中にも美しい瞬間は常に存在しているんだと思います。自分でもつい忘れてしまいそうな、そんな景色や記憶を、この絵本にぎゅっと詰めこみました。この絵本を見て「ああ~わかるわかる、この景色! いいよね~」と共感してもらえたらとてもうれしいです。
ありがとうございました!