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作家が語る「わたしの新刊」

夜にはじまったぼくだけのひみつの旅!『ねむれないよるのこと』なかざわくみこさんインタビュー

2024.08.28

なぞなぞのみせ』(石津ちひろ なぞなぞ)が大人気の絵本作家、なかざわくみこさんの新しい絵本は、『ねむれないよるのこと』。夜、どうしても眠れない男の子が、ふしぎな夜の街に誘われ、ひみつのちいさな冒険をするお話です。この絵本について、なかざわさんにお話を伺いました!

この絵本の着想はどのように得られましたか?

自分が眠れない夜に、こんな世界に行きたいなあ、とぼんやり思ったのがはじまりです。満月で外が少し明るかった夜だったと思います。
 
空想の世界に行って帰ってくる絵本は、もともと子どもの頃から好きで作ってみたいと思っていたので、自分が思いついたまま、好きなように形にしたくて、自主制作のような形で、2018年頃にゆるくざっくりと絵の具で描いて冊子にしました。それが、時を経て、やりとりをしていた編集者さんに、思い切ってお見せする機会があり、今の形に進化しました。

それまでは、架空の街というだけでしたが、話をしていくうちに、絵本として描くなら台所の街がいいかも、と、ふと浮かんで、そこからぐっと動き出しました。
 
「ねむれないよる」は、子どもの頃、だれしもが体験したことがありますよね。
大人とちがってやっぱり「どうしても寝なきゃ」という悩みも強かったように思います。
なかざわさんもそういう夜を過ごしたことはありますか?


子どもの頃は、楽しみなイベントの前夜などに気が立って眠れないことがありましたが、いつの間にかすとんと眠っていて、気づいたら朝になっていたように思います。大人になってからも、時々、妙に眠れない時があったりします。興奮するできごとがあって眠れない時も、とくに理由もなく眠れない時もあります。そういう時は、起きあがって、ぼーっとしています。

なぜかはわかりませんが、満月の夜は、引力のせいか、そわそわして寝つけないような気がします。


 
真夜中、黄色く光る街の様子がとっても幻想的でわくわくしました。

夜になって、街に灯りがともると、昼間とは違う世界になったように感じられて、妙にわくわくします。100年前くらいから大正、昭和の時代などの昔の写真を見るのが好きで、なかでも銀座の夜のネオンに惹かれていました。

同じ場所でも今とどこか違う風景で、異世界のような雰囲気があり、そういう、どこか知っているような知らないような、不思議な雰囲気も出せたらいいなと思いました。加えて、ミニチュアの建物やジオラマを見るのも好きなので、台所の小物たちを見て、夜にこんな街があったらいいな、と想像をふくらませました。


 
寝ている時によく、夢のなかで街を歩いて写真を撮っていて、朝起きてから、その写真を見てみたいと思うことがありまして、夢のなかのすみずみまでよく見たいという願望もあります。

この絵本では、夢か現実か、その狭間のような世界がでてくるのですが、自分自身も見たかった世界です。主人公の子の無意識の願望とか、ずっと心のどこかにある世界かもしれません。その世界を何度もじっくり見られるのは、絵本だからできること、絵本の楽しいところだなと思います。

わたしも、絵本のなかで遊んできたような記憶が残っているので、空想でも、絵本のなかでも、だれでもどこかに、遊びに行ったり来たりできる居場所みたいなものがあったらといいなと思っています。
  
お気に入りのページはありますか?

すべり台のシーンが、自分もすべりたくなるので、好きです。子どもの頃、巨大なすべり台があったら滑ってみたいなぁと想像したりしていました。自分もずっとここで楽しんでいたい、ここにいられたらいいのになぁ、という気持ちになります。

子どもの頃に、遊園地などから帰る時も、夜になって、まだ灯りがキラキラとしていて、楽しそうで名残惜しくて、帰りの車では疲れて寝てしまって、起きたら朝ということがあって、夢のようだったけど現実だったんだ! と思ったことも思い出しながら描きました。
 
絵本の中に不思議な人たちがたくさん登場しますね! とってもチャーミングですが、この人たちはどんなふうにイメージができたのでしょう?
 
子どもの頃から、ちょっと変な不思議な人たちを空想して描くのが好きで、大人になっても、相変わらず、ときどき絵のなかに登場していました。現実の世界に、不思議な人たちが紛れこんでいる絵も描いていたのですが、今回は、その不思議な人たちがたくさんいる不思議な世界が描けて、不思議な人たちもよろこんでいると思います。

またつぎの新刊も、とりかかられているのでしょうか?

『なぞなぞのみせ』につづく、「なぞなぞえほん」シリーズの1冊を構想中で、少しずつ動き出しています。

それは楽しみですね! お話を聞かせていただき、ありがとうございました。

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