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絵本の相談室

保育士が答える! 0123歳のちょっとしたお悩み 第31回

保育園から帰宅し、夕ごはんを準備するときに子どもが泣き出します。いい解決策はないでしょうか?

保育園から帰って、「さあ、子どもたちとの時間と家のしごとだ」というときに、子どもにぐずられると、本当に閉口しますね。

わたしにもそんな経験がありました。

現代は、「まあ、いいか」と子どもを泣かせ続けていると、虐待を疑われて通報されることもありえる、難しい世の中になっていると思います。子育て中の親や、子どものまわりにいるおとなは、どうしたらいいか悩むことがありますね。

わたしの方が泣きたいのに!と思うこともある。

「それは、いやだ」「わたしはやりたくない」「わからないけど泣きたいの!」という気持ちを、泣くという手段を使って全身で訴える子どもたちを「うらやましいなあ」と思うことさえあります。「わたしの方が泣きたいのに!」と思ったりしますよね。

子どもたちひとりひとりにちゃんと思いがあることもあれば、なんだかわからないけれど、たそがれどきになると悲しくなるってことも、あるのだと思います。

さあ、どうしましょう? 解決策やマニュアルがありそうでないのが、子育て。「はやくしてほしい」「静かにしてほしい」「ごはんは残さず食べてほしい」「きょうだい仲良くしてほしい」といった、おとなの思いを、生まれてから数年しかたっていない子に理解してもらうのは難しい。あきらめるしかないかも……。

そもそも、子どもって、人格を持ったひとりの「ひと」なんですよね。

ひとりひとり、性格も、思っていることもみんなちがう。思うようにならないのがあたりまえで、従順になんでも話をきいてくれる「いい子」って、いそうでいないと、40年以上子どもと関わる仕事をしてきて思います。

泣き声が大きい子がいたり、部屋のすみでしくしく泣く子がいたり。園長になった今も、ひとりひとりちがう子にどう寄り添ったらいいのか、悩みながら子どもたちと生活しています。

解決策はないけれど、ひとりひとりに応えてくれる絵本で気分を変えてみる。

誰にでもぴったり合う解決策はありませんが、おなかが持ちそうで子どもが好きなものを、食べさせたり飲ませたりした上で、夕方に絵本タイムなんてどうでしょうか?

絵本って、ひとりひとりの好きにこたえてくれるものです。お気に入りの絵本や、興味のある絵本は、子どもたちの気分を変えてくれます。なにより、おもちゃとちがって、散らからない!

何度見てもおもしろくて楽しい絵本が、夕方の子どもたちの泣きたくてしかたない気分を変えてくれたらいいな。そして、お母さん、お父さん、子どもたちのそばにいるおとなたちの「助っ人」になってくれたら、と願っています。

 

子どもたちが気分転換できそうな楽しい絵本。


『もりのかくれんぼう』(末吉暁子・作、林 明子・絵、偕成社)
お兄ちゃんを探して森に迷いこむ、けいこ。そこで、不思議な男の子と出会い、動物たちも加わって、かくれんぼをすることに。 黄金色の秋の森の中で、けいこは動物たちを探します。 でも、これがなかなか見つからない! 見つけたときは、おとなでもうれしくなります。子どもたちは、動物たちを見つけては「いた!」と楽しそう。探すだけでも楽しい1冊なので、見ているうちに子どもが気分転換できるかも?


『もりの100かいだてのいえ』(いわいとしお・作、偕成社)
オトちゃんがハープを弾きながら不思議な花をたどっていくと、大きな木にたどりつきます。そこには、「100かいだてのいえ」が。中にいる動物たちは、みんな楽器を持っています。文を読んでいくと、子どもたちは絵を真剣に見ている。しだいに、階段を上がっていくのを指でたどっていく子や、数字だけを「1、2、3、4」と読み上げていく子がでてくる。ひとりひとり、楽しみ方がちがうのも、この本のおもしろいところ。それぞれのページにいろんなドラマもかくれているので、見るたびに発見がある。「静かだな」と思ったら、ひとりでページをめくりながら、ひとりごとを言って楽しんでいる子に、何人も出会ってきました。好きな読み方をして、気持ちを変えられたらいいですね。

 


安井素子(保育士)
愛知県に生まれる。1980年より公立保育園の保育士として勤める。保育士歴は、40年以上。1997年から4年間、月刊誌「クーヨン」(クレヨンハウス)に、子どもたちとの日々をつづる。保育園長・児童センター館長を経て、現在は中部大学で非常勤講師として保育と絵本についての授業を担当。保育者向け講演会の講師や保育アドバイザーとしても活動している。書籍に『子どもが教えてくれました ほんとうの本のおもしろさ』(偕成社)、『0.1.2歳児 毎日できるふだんあそび100ーあそびに夢中になる子どもと出会おう』(共著、学研プラス)がある。月刊誌「あそびと環境0・1・2歳」(学研)、ウェブサイト「保育士さんの絵本ノート」(パルシステム)、季刊誌「音のゆうびん」(カワイ音楽教室)で連載中。

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今日の1さつ

小学校6年生のときに、「十一月の扉」を読んで以来、高楼さんの本が大好きです。「街角には物語が…」も、読んでいてとても心があたたかくなりました。高楼さんの物語の世界は、小さい頃から私の憧れている世界そのもので、本当に大好きです!!(17歳)

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