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子育てと絵本の相談室

保育園の部屋で、3・4・5歳と読んだこんな本

第3回

子どもの毎日には、たいへんなことがよく起こる! 絵本『よかったね ネッドくん』は子どもたちの日々にぴったり

2025.01.25

保育園で子どもたちと生活していると、けがをしたり、転んだり、けんかになったり……さまざまな事件がおこります。

そんなとき、保育園では「運よく大きなことにつながらなかったね」ですまされることはありません。

「ヒヤリハット」として職員の会議にあげて、園全体で対策をとります。もちろん、実際にけがや事故につながったときは、改善策を考えて二度とおこらないようにします。県や市に報告の義務があるケガもあります。

とはいえ、小さなけががなくなることはないし、けんかがなくなることもありません。

万が一を心配して過保護にしすぎるより、小さなけがなら「だいじょうぶだよ」ということを子どもに伝えるのが大事で、子どもの成長にとって必要なことでもあると、考えています。

子どもは「よかったこと」を見ていることが多い

クラス担任をしていたとき、年長クラスのかずくんが、転んで大きなすり傷を作ってしまったことがありました。血がにじんでいて、いかにも痛そう。「痛かったね」と声をかけると、目に涙をいっぱいためながら「いやあ、骨は折れてないよ」と言うので、笑ってしまったことがあります。

子どもたちって、「よかったこと」を見ていることのほうが多いと感じます。

お正月に、獅子舞を園で舞ってもらったときのこと。生きているように舞う獅子に嚙まれて泣いてしまう子もいたのに、次の日には「かまれたよねえ」「かまれても、血はでなかったよね」「こわかったねえ」「ししまい、生きてたんじゃない?」と楽しそうに子どもたちみんなで話題にしていました。

子どもは、あしたに向かって生きているから、おとなが思う以上にいろいろなことを「だいじょうぶ」と思っているのだろうなあと感じるエピソードでした。

絵本『よかったね ネッドくん』は、子どもたちの気持ちにぴったり

保育園で『よかったね ネッドくん』を読んだときは、子どもたちが「ネッドくん、めっちゃ、うんがいいじゃん」「うんがよすぎだよね」とうなずきあっていました。

この絵本は、運がよかったり、悪かったりがくりかえされる内容で、運がいいときはカラー、運が悪いときはモノクロのページになっています。

びっくりパーティーの手紙がきた。

でも、たいへん! パーティーはとおいとおいフロリダでやるんだって。

よかった! 友だちが飛行機を貸してくれた。

でも、たいへん! 飛行機が途中で爆発。

こんな具合にお話が進んでいき、最後はトラに追いかけられて、穴を掘って逃げるネッドくん。たどりついた先が、びっくりパーティの会場! という展開の絵本です。

「よかったこと」も「たいへんなこと」もでてきますが、子どもたちにとっては、「よかったこと」だけが心に残るんだなあと思いました。

年中の、りこちゃんが「びっくりした。こんなところからネッドくんがでてくるから、びっくりパーティなんだね」とつぶやいていました。なるほど、そうだったのか! と一緒に笑って絵本を閉じました。

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