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絵本の相談室

保育士が答える! 0123歳のちょっとしたお悩み 第18回

洗濯が大変なのに、子どもたちはどろんこ遊びが大好き。なぜ?

保育園では夏になると、「園庭に水をまいて、どろんこ遊びがたくさんできるようにしよう」とカリキュラムを立てたりします。そんなときに悩むのは、保護者への発信。

どろんこ遊びの考えかたはさまざまで、衛生面を考えて小さい子にはふさわしくないと思われる方もいるし、洗濯も気になるところ。

多様性を考え、どろんこ遊びをさせたくないおうちの方には、その思いをきくこともあります。また、泥は洗ってもなかなか落ちないので、園では、どろんこになってもいいように、専用のパンツや服の用意をお願いしています。

子どもにとってどろんこ遊びは、いつまでも飽きない遊び!

以前働いていた園で、園長先生から「園庭は穴を掘って遊ぶところではない」と、どろんこ遊びのために園庭に水をまくのを禁止されたことがありました。

でもわたしは長年の経験から、どろんこ遊びをするときの子どもたちは、必ず飽きずに遊び続けるということを知っています。子どもにとって魅力のあるものであることはまちがいないのです。

ふだん、子どもたちは砂場で遊ぶことが多いと思いますが、「どろんこ」には、砂場遊びとはちがうおもしろさがあります。砂場の砂は「川砂」が多く、どろんこにはなりません。わたしが関わる保育園では、今度、「山砂の砂場」と「川砂の砂場」の両方を作ってもらおうと思っています。


感触がざらざらだったり、ぬるぬるだったり、びしゃびしゃだったり、ぷよぷよだったり……。どろと向き合う子どもたちの真剣な顔にたくさん出会ってきました。水の加減がちょうどよく、つやつやになった泥に手形をつけてみたり、指で穴をあけてみたり。まるで研究者のようだと、その姿にあこがれさえ感じたこともあります。

感覚をフル回転させる遊びが、子どもの成長にとって大切だということに異論を唱える人はいないと思います。どろんこ遊びを通して、適度に土のなかの菌と接触することも、子どもの体の成長にとって大切という話もあるぐらいです。けがなどをしていて、そこからバイキンが入る可能性がある場合をのぞき、どろんこ遊びはおすすめです。

ぜひ、まわりのおとなも、真剣にどろと向き合う子どもの姿を見てほしい。そして、目が合ったら「面白いね、遊んでいいんだよ」というまなざしを送ってあげてください。わたしは、そんなふうにおうちの方へ発信したいと考えています。

どろんこ遊びの環境がなかったら、絵本の世界で楽しんで!

どろんこ遊びの魅力を裏づけしてくれるように、遊びをテーマにした絵本はたくさんあります。どろんこ遊びを楽しめる環境がなかなかないところもあるかもしれませんが、絵本の世界でどろんこを楽しんでもらえるとうれしいです。おとなも子どもの頃のことを思い出すかもしれません。


『どろだんご』(たなか よしゆき・文、のさか ゆうさく・絵、福音館書店)
保育園では毎年、どろだんごづくりがはやります。この絵本はそんな子どもたちを応援してくれる一冊。子どもたちは、園庭のどこの土がかたくてだんごにしやすいのかよく知っていて、園から帰るときには、この絵本のように自分で作ったどろだんごを隠していきます。以前、保育園にいたひろくんは、隠したどろだんごが割れていることに気づき、この世の終わりのように悲しんでいた。そのくらい一生懸命作ったということだよなあと思い、「また作ればいいよ」と、あきらめられないひろくんのそばにいたことがあります。


『ただいまー』(きたやまようこ・作 絵、偕成社)
どろ遊びをして帰ってきたみこちゃん。ぼうしをぬいでも、ながぐつをぬいでも、どろんこ。おしりまでどろんこ! そんなみこちゃんの体をお母さんが優しく洗ってくれます。ぼうしも服もパンツもシャツもながつぐも、さっぱりきれいになって干されています。「たくさんどろんこにして遊んでいいんだよ」というお母さんのメッセージがきこえるようです。そしてまた「いってきまーす」と遊びにいくみこちゃんに、思わず「いってらっしゃい」と声をかけてしまいます。

『どろんこ おそうじ』(さとうわきこ・作 絵、福音館書店)
ばばばあちゃんにそうじをするように言われたこいぬとこねこ。そうじをはじめたのに、今度はほうきとぞうきんで野球遊びをはじめてしまう。飛ばしたぞうきんが森にとんでいって、森の動物たちとどろだらけの大げんかに。それを見ていたばばばあちゃんも、うれしそうに参加。こいぬたちがあきれてしまっても、どろんこ遊びを続けるばばばあちゃん。こんなおとながそばにいたら、子どもたちはきっと幸せだろうなあと思う。保育者は子どもたちと一緒になってはだしでどろんこ遊びを楽しむこともあるのだけれど! どろだんごを夕食のテーブルにのせてしまうばばばあちゃんはさすがです!

『どろんこ どろんこ!』(わたなべ しげお・文、おおとも やすお・絵、福音館書店)
くまくんがシャベルをもって砂場へ。山を作ってその上にすわったり、穴を掘って、そこに入ってみたり、水を入れてお池に見立ててみたり。くまくんが自分で遊びを発展させていく感じがとても自然でいい。自分で考えて遊ぶ、そんな魅力が砂場にはあるのだと思う。最後はやっぱりどろんこに。「ああ おもしろかった」という、どろだらけのくまくんはなんともかわいい。自分の子どももそう思えたらいいかな。子どもの遊びをそばで見守るときは、おりたたみのいすがあるといいかも!


安井素子(保育士)
愛知県に生まれる。1980年より公立保育園の保育士として勤める。保育士歴は、40年以上。1997年から4年間、月刊誌「クーヨン」(クレヨンハウス)に、子どもたちとの日々をつづる。保育園長・児童センター館長を経て、現在は中部大学で非常勤講師として保育と絵本についての授業を担当。保育者向け講演会の講師や保育アドバイザーとしても活動している。書籍に『子どもが教えてくれました ほんとうの本のおもしろさ』(偕成社)、『0.1.2歳児 毎日できるふだんあそび100ーあそびに夢中になる子どもと出会おう』(共著、学研プラス)がある。月刊誌「あそびと環境0・1・2歳」(学研)、ウェブサイト「保育士さんの絵本ノート」(パルシステム)、季刊誌「音のゆうびん」(カワイ音楽教室)で連載中。

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今日の1さつ

政権争いも本格的に起こり、大人でも読んでいてドキドキしました。また早く続編が読みたいです。小森さんの小説に出てくる女性は強く魅力的な人が多いですが、今回のサンドラは少し人間味を強く感じ、そこも魅力的でした。また風景が目の前に広がるような描写がとても好きです。(40代)

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