朝起きる。窓を開けて新鮮な空気を吸う。そのことを毎日繰り返せることの、なんと幸せなことでしょう。『あさになったのでまどをあけますよ』(荒井良二 作・絵)は、一日のはじまりの瞬間をやさしく美しく切り取った絵本です。

世界のどこかで今日も一日がはじまる
本作は、朝日に照らされた青々とした山の風景と、その隅っこで窓を開けている男の子の絵からはじまります。


あさになったので まどをあけますよ
やまは やっぱり そこにいて
きは やっぱり ここにいる
だから ぼくは ここがすき
次のページでは、背の高い建物がならび、車が行き交うにぎやかな街の風景が広がります。マンションの一番上の階の窓に、女の子のすがたが見えます。

あさになったので まどをあけますよ
まちは やっぱり にぎやかで
みんな やっぱり いそいでる
だから わたしは ここがすき
それぞれの場所でむかえるそれぞれの朝の風景が、シンプルな文章とともに繰り返されます。暮らしている土地も、その日の天気も、朝をむかえる人々の気持ちも、まったくちがうものですが、世界のどこかでいつでも、今日という一日がはじまっているのです。
人々の生活を明るく照らす一冊
本作の刊行以来、読者の方からは多くの声が寄せられています。ここではその一部をご紹介します。
どこにいても毎日がんばろうと思える絵本です。自分が育った場所、今住んでいる場所が愛おしく思えます。(20代)
東京へ行ってしまう大好きな人に贈ろうと思いました。どこにいたとしても、その場所や、実家のことを思い出して、あたたかい気持ちになれる本だと思います。(10代)
登場する人物や景色や言葉から今の生活を愛していることが伝わり、何だかはげまされた気持ちになりました。「やっぱりここが好き」だと思って暮らすことができたら、とても満ちている人生ではないでしょうか。(20代)
私の一番大好きな絵本です。大切な友人に教わりました。病院で入院しているときに出会い、夢をあきらめかけていた私をはげましてくれた一冊です。(30代)
なんて美しい絵!なんて美しい言葉!荒井良二さんの絵本を見るたびに涙が出そうになる。心を大きくゆさぶられる。もっともっとどんどんたくさんきらきらひかる色彩を世に送ってほしい。(5歳・お母さまより)
本作が出版されたのは2011年。作者の荒井良二さんが、東日本大震災のあとに最初に描き上げた一冊です。被災地を訪ね歩き、ワークショップを重ねるなかで、この絵本は完成していきました。
よろこびにあふれた人にも、悲嘆にくれている人にも、平等に朝はおとずれます。朝のすがすがしい美しさに目を開かれ、希望が胸にじわりとしみわたるような、あたたかな絵本です。


