冬の寒さは身にこたえますが、雪あそびをしたり、お気に入りの手袋ででかけたりと、楽しいこともたくさんありますね。今回は、そんな冬の楽しい思い出がつまった絵本をご紹介します。

しずけさのなかから聞こえる音に満ちた『ゆき』(三浦太郎 作)

ここは、雪がつもった山のなか。動物たちが足跡をつけて歩いています。子どもたちは、ここぞとばかりに雪を思いっきり楽しみます。村では、クリスマスツリーの飾りつけ。そして、村人たちが「いってらっしゃーい」と見送ったのは……?

動物たちの雪を踏む音や、息づかいまで聞こえてきそうな、しんとした空気。雪のなかをかけまわる、子どもたちのにぎやかな笑い声。雪が作りだすしずけさのなかに、たくさんの音が聞こえてくる一冊です。
人々の親切が心をあたためてくれる『てぶくろがいっぱい』(フローレンス・スロボドキン 文/ルイス・スロボドキン 絵/三原 泉 訳)

ある日、赤い手袋を片方なくしてしまったふたごの男の子。「赤い手袋を探している子がいる」といううわさが町じゅうをかけめぐり……、翌日から、落としものの赤い手袋が次々と家に届けられるようになったのです!

ほんとうの持ち主はきっと困っていることでしょう。そこでふたごは、たくさんの赤い手袋を無事に持ち主へ返すため、とってもいいことを思いつきます! 人々のやさしさに、心あたたまる一冊です。
『もりのおくのおちゃかいへ』(みやこしあきこ 作)

お父さんがおばあちゃんの家へもっていくはずだったケーキ。玄関にぽつんと忘れられているのを見つけたキッコちゃんは、「いまならおいつける」とケーキを手に追いかけますが……。お父さんの背中だと思ってついていったのは、なんと、くまの背中でした! そしてキッコちゃんは、思いがけず、動物たちのお茶会に招かれることになり……。

作者のみやこしあきこさんは、刊行当時に寄せたメッセージのなかで「迷子になる怖さ、知らない人にじっと見つめられる怖さ。わたしは、そういう緊張感を描くのが好きです」と語っています。キッコちゃんが抱いた不安をひしひしと感じたあとだからこそ、そのあとに待っている動物たちのあたたかなおもてなしが、いっそうじんわりとしみわたります。
寒い冬、あたたかい毛布にくるまって、絵本を読むひとときをお楽しみください。




