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今週のおすすめ

離れていたからこそ、いっしょに過ごす時間が愛おしい! 友情いっぱいの『カメくんとイモリくん 小雨ぼっこ』

気のおけない友だちと、繰り返ししてきた会話や遊びをするときというのは、心をすみずみまで満たしてくれるうれしさがあるものです。『カメくんとイモリくん 小雨ぼっこ』(いけだけい 作/高畠 純 絵)の主人公のカメくんとイモリくんは、かつてはおとなりさんでしたが、今は別々の場所で暮らす親友です。ついに再会したふたりの、あの日と変わらない時間を過ごせるよろこびにあふれた、友情いっぱいの読み物です。

カメくんとイモリくん、1年ぶりの再会!

 カメくんとイモリくんは、川岸の家がおとなり同士だった、仲良しさんです。ところが、ふたりは思いがけないことから、離れ離れになってしまいました。

 それは「ひなたぼっこ」にあらず、「小雨ぼっこ」とよんで、ふたりが外で過ごしていた、夏のお天気雨の日のできごとでした。とつぜん、その雨が大雨になって……イモリくんのおうちだけ、川の先にある「ヒキガエル池」に流されてしまったのです。家をもとに戻すことは難しく、イモリくんはそのまま遠い「ヒキガエル池」に住むことになりました。

 物語は、それから1年後、久しぶりにイモリくんが、カメくんをたずねて、ともに過ごすひと夏のできごとを描きます。

また同じことができるうれしさ

 なかよしのふたりの日常を描いたお話、というのはさまざまな形でありますが、この本は、離れ離れになってしまったふたりが「再会」して過ごすかけがえのない時間を描いた、すこしめずらしい1冊です。

 離れていたからこそ、「また去年と同じこと」をして一緒にいられることが、こんなにも大切で愛おしいものとは! お話のすみずみから、ふたりがかつて、どんなふうに、なかよく毎日を過ごしていたのかが伝わってきて、カメくんとイモリくんの再会のよろこびを読者もいっしょに味わうことができます。

 高畠純さんの挿絵も物語にぴったり! お話がおわったあとの、最後のページまで楽しませてくれます。小学校中学年からの、友だちっていいなあ、と思える1冊です。

この記事に出てきた本

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今日の1さつ

私自身が小学校低学年の頃(1980年代)の図工の教科書でした。感受性の高いこの時期に出会った名作、わかりやすいルビをふった文章。何度も本を開いて絵に吸い込まれる様に見た記憶がありました。娘が同じ年齢になり「ゴッホって誰?」と質問したのでハッと思い出し、この本をプレゼントしました。(9歳・お母さまより)

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