『放課後の読書クラブ』は、50冊以上の本を紹介しながら、作家の小手鞠るいさんが「読むことの楽しさ」をつづった一冊。読者からの「書くこと」に関する悩みに答えた『放課後の文章教室』につづくエッセイ集、2作目です。
小手鞠るいさんの人生に影響をあたえた本、50冊以上を紹介
本書はタイトルにあるとおり、学校生活のカレンダーに合わせて、始業式、一学期、夏休み、二学期、冬休み、三学期、終業式と章が進みます。
各学期には、小手鞠るいさんがこれまでの読書遍歴をふりかえって、自身の進路や生き方に大きな影響をあたえた本を、50冊以上紹介します。小学生のころに読んで、わんわん泣いたという『フランダースの犬』や、恋愛小説の名手といわれる作者が、読み終わるのがもったいなくて、繰り返し読んだという恋愛小説、また、デビュー作を読んで「ノックアウト」されて以来のファンだという村上春樹作品のこと––––。
どれも作者のその後の人生に影響をあたえた本ばかりであり、単なる本の紹介にとどまらず、「作家・小手鞠るい」の人生譚としてもたっぷりと楽しめます。
『若草物語』『人間失格』から着想を得て、小手鞠さんが書き下ろした短編も2編収録。ぜひじっくりと味わって読んでみましょう。
書くためには、浴びるように、なめるように読むこと
三学期には「作家になるためには」というテーマで、読者にこのような質問を投げかけます。
あなたは、文章を書くことが好きですか。
あなたは文章を書くことが三度の食事よりも好きですか。
あなたは、読書が好きですか?(中略)三度の食事よりも好きですか。
あなたには、書くこと以外に、得意なことがありますか。
最初の3つの質問に「はい」、最後の質問に「いいえ」と答えた人は、作者曰く「作家になれます」。
ほかにも「書くためには、読むこと。浴びるように、なめるように読むことでしか、うまく書けるようにはなれない」など、作者の「書くこと、読むこと」への向き合い方が、本書の随所に感じられます。小説家を目指す子どもたちが読めば、きっと大きな刺激をもらえるでしょう。
最後の章である終業式には、読書感想文を書く、という春休みの宿題が出されます。「読書感想文はにがて」という方には、小手鞠さんがアドバイスを授けますので、ご心配なく。それに、ここまでこの本を読み通した皆さんなら、「書く力」がきっと育まれているはずです。