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絵本&読み物案内

「いいんだ!この子はこのままで!」人気イラストレーターが描く、ダウン症のある息子マルコとのいとしい毎日。『マルコとパパ』

2018.02.13

きょうご紹介するのは、アルゼンチン生まれの人気イラストレーターが描く作品、『マルコとパパ ダウン症のある息子とぼくのスケッチブック』(グスティ 作/宇野和美 訳)。息子のマルコにダウン症があることを知り、「こんなのうけいれられない」と思ってから、ありのままマルコを心から愛するようになるまでを、グスティが自由なイラストと言葉で、まさにスケッチブックのようにしるした、愛情のつまった一冊です。


受け入れられないという正直な気持ちーマルコはうまれたとき、ぐんたいをごっそりひきつれて、ぼくの城にせめこんできた。

 冒頭グスティは、マルコが生まれたとき、率直にどんな気持ちになったのかをしるしています。

 絵なら やぶりすてられる。消して、もういちど かきなおしてもいい。(中略)
だけど、子どもは…… ほんものの子どもは そうはいかない。
マルコのことは、そういうことだった。
おもってたのとちがう子が うまれてきたんだ。


 最初は
こんなのうけいれられない」、と思ってしまったグスティ。しかしその後「このほうがよかった、いや、これがいちばんだ、とわかったんだ!」と続けています。「ひどい いいかたに きこえるだろうけど、でも、それが、真実、ぼくの真実だった」。始めはとまどい、なぜ? と問わずにはいられなかったこと、マルコとのいとしい毎日でその気持ちが変わったことを、ありのままに表現しています。


妻のアンヌ、長男のテオのことーアンヌは「なんの」もんだいもなくうけいれた。

 グスティの家は、グスティ、妻アンヌ、長男テオ、そして次男マルコの4人家族です。
 「この子は、『こんなふうに』うまれてくる権利があるって、心のおくでかんじてた。わたしたちは、いろいろおしえられるだろうし、それはすばらしい経験になるだろうって。」と言う妻のアンヌ。マルコがダウン症だとわかったとき、心の中でまだ受け入れられていなかったグスティに対し、「べつにいいよ、マルコがあかくたってみどりだってあおくたって、メタリックだって毛むくじゃらだって(中略)。ぼくには、いつだって、せかいいちのおとうとだもん。」と言った長男のテオ。
 グスティは、マルコが生まれたときのアンヌの反応や当時を思い返して語ったインタビュー、グスティにとって「小さな大先生」であるテオがマルコとどう接しているかなどをしるしています。
 家族の言動によってグスティの気持ちがうごいていった様子が伝わってきます。

マルコとの楽しい毎日!ーマルコはいろんな能力をもっている。そのひとつは、冷凍ビームだ。(*このあそびは数時間つづくことがあるのでちゅうい。)

 本の中では、マルコがめいっぱい遊び、学び、はしゃぐ様子が、時には文章で詳細に、時にはマンガ調にと、グスティのさまざまな表現方法によって描かれています。グスティがマルコのあらゆる瞬間をスケッチでかきとめていることがわかります。写真がほとんど使われていないにもかかわらず、マルコの特徴をあざやかにとらえたイラストからは、マルコのことが手に取るようにわかり、読者もマルコを愛さずにはいられません。

 専門的な内容とも、ノンフィクションの読み物ともちがい、感覚的にグスティの気持ちやマルコのこと、ダウン症にふれられる、あたたかで元気な、まさにスケッチブックのような作品です。ボローニャ・ラガッツィ賞・障がいの本部門の最優秀賞にもかがやいた、新しいかたちの「障がいを理解する本」。ぜひ手にとってみてくださいね。

 

 

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