昨年、刊行から50周年をむかえ、今年発行部数が100万部を突破し、ミリオンセラーの仲間入りをした『大どろぼうホッツェンプロッツ』。続編の『大どろぼうホッツェンプロッツ ふたたびあらわる』『大どろぼうホッツェンプロッツ 三たびあらわる』とあわせて、3部作で楽しめる、ゆかいな冒険物語です。さし絵が豊富で読みやすく、お子さんがはじめて読む長めの本としてもおすすめ。小学校中学年ごろからお楽しみいただける作品です。
おばあさんのコーヒーひきがぬすまれた!
ことのはじまりは、おばあさんが大切にしていたコーヒーひきが、大どろぼうホッツェンプロッツにぬすまれてしまったこと。このコーヒーひきは、孫のカスパールとその友だちのゼッペルが、おばあさんのお誕生日祝いに贈ったものでした。怒ったカスパールとゼッペルは、このコーヒーひきを取りもどすべく、ホッツェンプロッツをつかまえに出かけます!
少年たちと大どろぼうの知恵くらべ
大どろぼうホッツェンプロッツは、連日その悪事で新聞をにぎわせる、天下の大どろぼう。かしこいカスパールとゼッペルはわなをしかけるのですが……だてに長年大どろぼうをやっているホッツェンプロッツではありません。ちょっととぼけた見た目とは裏腹に、意外に知恵のはたらくこのどろぼうに、ふたりの少年はまんまとつかまってしまうのです! そして、ひとりはホッツェンプロッツのもとで下働きを、もうひとりは、悪い魔法使いのもとで毎日大量のジャガイモの皮むきをさせられることに……(魔法使いは、じゃがいも料理が大の好物なのです)。さて、ふたりは、この絶体絶命の危機から逃れられるのでしょうか?
3巻セットにはプラムケーキのレシピつき!
この物語のもうひとつの魅力は、お話に出てくるおいしそうな食べものたち。3部作の中には、おばあさんが作ってくれるプラムケーキや、ザワークラウトなどの、ちょっと聞きなれない(だからこそ、あこがれのつのる)食べものがたくさん登場します。読みおわると、「一度は食べてみたい!」と思うことまちがいなし。幼き頃にホッツェンプロッツを読んだという方からは、「あこがれていたザワークラウトをはじめて食べたときは、感動した!」なんて声をよくききます。
ではここで、プラムケーキが出てくるくだりを読んでみましょう。
あしたは日曜日。
日曜に、おばあさんのうちでは、プラム(西洋スモモ)入りのケーキをつくることになっているのです。あわだてた、なまクリームをかけたプラムケーキ!
カスパールとゼッペルは、もう1週間もまえから、たのしみにしているのです。
「ねえ、きみ!」とカスパールはいいました。「ぼくコンスタンチノープル皇帝になりたいんだ。」
「どうして?」と、ゼッペルがききました。
「だって、そうなったら、毎日、なまクリームをかけたプラムケーキがたべられるもの。」––––『大どろぼうホッツェンプロッツ』より
いったい、コンスタンチノープル皇帝になってでも毎日食べたいプラムケーキとは、どんなにおいしいお菓子なのでしょう!……そこで、50周年を記念した緑色のケース入り3巻セットには、日本でも作りやすくアレンジしたプラムケーキのレシピカードをつけています。どうぞ物語とあわせて楽しんでみてくださいね。