道具がたくさん描かれたページをめくると、その使い手が登場! 問いかけにこたえながら、いろんな道具と、さまざまな職業の人の働く姿が見られる、三浦太郎さんのスタイリッシュな絵本『しごとのどうぐ』をご紹介します。
このどうぐ、つかうのはだれ?
絵本のページを開くと、「このどうぐ、つかうのはだれ?」の言葉とともに、のこぎり、かなづち、くぎ、のみなどなどいろんな道具が登場します。
答えがわかりましたか……? そう、この道具を使うのは「だいくさん」!
そのほかにも、仕立て屋さん、お医者さん、庭師さん、コックさんなど、道具が描かれたページをめくると、その道具を使う職業の人が登場。問いかけに答えて絵本を楽しみながら、いろんな道具の名称を知ることもできます。
「ごっこあそび」が大好きな子どもたちは、いろんなシーンで出会う大人たちの使っている道具にいつも興味津々。シンプルですが、ディテールまでこだわって描かれた道具のイラストたちは、そんな子どもたちの、見たい、知りたい、という気持ちを存分に満たしてくれます。
スタイリッシュでかっこいい絵本!
三浦太郎さんといえば、『くっついた』(こぐま社)などの赤ちゃん絵本をはじめとした、数々の作品で知られていますが、実は海外で先に絵本を出版された作家さんです。
本作は、日本デビュー前の時期である2005年に、ボローニャ国際絵本原画展に入選した作品をもとに、イタリアで出版された絵本の邦訳。赤ちゃん絵本での三浦太郎さんの絵とは一味異なる、「ロシア・アバンギャルド」(20世紀前半に起きた芸術運動)のデザインを彷彿とさせる、スタイリッシュな世界を楽しむことができます。
絵はデジタルで合成されていますが、1つ1つのイラストや模様は、さまざまな道具を駆使して手描きで描いているのだそうです。手仕事とデジタルがくみあわさった、かっこいい絵本! ざらっとした上質な紙の手触りも心地よく、絵本としても、アート作品としても、ぜひ手元に持っておきたくなる1冊です。