佐々木マキさんといえば、そのシュールでナンセンスな作風でおなじみの絵本作家。今回ご紹介する『いないいないばあさん』は、突然いなくなっては、思いがけないところから「ばあー」! と姿をあらわすおばあさんと「ぼく」のお話です。そのちょっぴり不思議な世界を存分にお楽しみください。
ショーウィンドウの中や、煙突の上まで! あらゆるところから、いないいない「ばあー」
ぼくがおばあちゃんと一緒に歩いていたら、いつの間にかおばあちゃんがいなくなりました。
「おばあちゃーん」あちこち探し回ると……。「ばあー」!
なんと、おばあちゃんが、ショーウィンドウの中でマネキンのまねをして立っていました。
別の日も、一緒に歩いていたと思ったら、突然いなくなってしまうおばあちゃん。橋の下や階段のうら、煙突の上などから「りょうちゃん、ここよ、ばあー」と登場!
でもある日、ほんとうにいなくなっちゃって……? おばあちゃん、いったいどこに隠れてしまったのでしょうか。
かくれんぼと、くりかえしの展開が楽しい!
いないいないばあや、かくれんぼが定番のあそびになっているように、「かくれる」→「見つける」の遊びが、子どもは大好き。この絵本でも、おばあちゃんがいなくなる→見つける(不安になる→安心する)のくりかえしが、子どもの心をつかみます。
さらに、なんといっても注目すべきは、おばあちゃんのアクロバットな身のこなし! 毎回予想もつかないところから登場するおばあちゃんに、大笑い! 次はどこかな? と読みながら考えるのも楽しいですね。
「いないいないばあ」と「おばあさん」。ありそうでなかったこのテーマは、マザーグースの『リトル・ボ・ピープ』から着想を得たのだそう(くわしくはこちらのインタビュー記事をご覧ください)。
佐々木マキさんの遊び心がちりばめられたこの絵本、ぜひ手にとってみてください。