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子育てと絵本の相談室

保育士が答える! 0123歳のちょっとしたお悩み 第2回

夏の間におむつがはずれない! いつとれるのかと焦ります

2019.10.25

 「トイレトレーニングはいつからはじめたらいいのか?」というのは、よくある質問です。

 いまのお母さんたちは、ネットなどで情報がよく入るので、さまざまな工夫をすでにされている人が多いように思います。

 保育園では、1、2歳児はいっせいに排泄の時間が決まっていて、行きたくても、行きたくなくても(出ても、出なくても)、トイレに行くというところがまだ多いかもしれません。

 それでたしかに、保育園に通っている子の方がおむつが外れるのが早い気がしますが、早い遅いはやはり個人差が大きい。

 わたしの園では、できるだけひとりひとりの「排尿間隔」にあわせて誘うように心がけています。おとなと同じで排泄の間隔はひとりひとりちがうのが当たり前なので、だれかとくらべるのがそもそもナンセンスなのだと思っています。

夜は1年生まで紙おむつだって大丈夫! 園の先生がきっと相談にのってくれます

 わたしの40年近くの保育士経験からいうと、年中になってもおむつをしている子は、まずいません。

 同じ3歳でも、3月生まれだとすぐに年少クラスになってしまうので、よけいに焦るってこともあるかもしれませんね。年少児で入園してきても、「クラスの4分の1が紙おむつを使っている状態」というのがふつうになっていると思います。

 紙おむつもどんどん改良されて快適なものもあるので、家庭の事情にあわせれば大丈夫。

 フローリングなら、比較的おもらしにも対応できますが、じゅうたんが敷いてあったりしたら困りますよね。

 ふとんがすぐに干せない住宅事情であれば、夜は1年生まで紙おむつで大丈夫。実際、年長のはじめてのお泊り保育で、おねしょが心配というお母さんたちはとても多いです。

 先のことまで心配しなくても、園の先生たちがちゃんと相談にのってくれるので大丈夫!

 わたしの園では、園からでるゴミとしての紙おむつを減らすために、1歳6か月まではレンタルの布おむつを使用してもらっています。

 目の前にいる子どもたちがこれから大きくなっていくことを考えたら、地球の環境のことを意識せずにはいられないから。小さな環境教育がこれからとても大事になってくると思っています。

「あーあ、でちゃったね」と笑っちゃうくらいになれたらいいな

 小さいときだからこそ、自分がしたうんちに「ばいばい」と手をふったりできるし、おもらしもおねしょも、小さい子の特権なのかも。

 あまり神経質にならないで「あーあ、でちゃったね」と笑っちゃうくらいになれたらいいのだけれど。他の子とくらべてみたってしかたない。
 
 おむつを外したい時期と、イヤイヤ期が重なっているのも、おうちの人が大変な理由のひとつ。一度「いや!」と言ったら、なにがあってもうごかないですよね。そんなときは親子でトイレの絵本を楽しんでみるのがいいかも。

子どもたちに人気の「トイレ」の絵本

『といれ』(新井洋行 作・絵、偕成社)

 おむつが外れていようと、外れてなかろうと、子どもたちはなぜか、「うんことおしっこ」に興味があるんです。そして、うんことおしっこがでてくる絵本は子どもたちに大人気!

『ぷくちゃんのすてきなぱんつ』(ひろかわさえこ 作、アリス館)

 子どもたちにとっては、愛着のあるうんちとおしっこ。この本のうんちが描かれたページでは、子どもたちが1本指でそっとうんちをさわるマネをして、指のにおいをかいで、「くさっ!」。そんな風に遊びながら何度も笑った絵本です。
 

 おもらしの時期の子にも、ちょっと大きくなった子にも人気のある『ぷくちゃんのすてきなぱんつ』。

 園で読んでいたら、「じょじょじょーん!」というおもらしの場面で、おむつがなかなか外れないさっちゃんが「あーあ」というので笑ってしまう。

 おとなは笑ってしまうかわいい場面なのに、子どもたちはいつも真剣な顔で絵をみつめています。子どもたちだって、パンツで過ごしたいと思っているのかも。

 保育園で生活をしていると、子どもたちは、おとなが思うよりずっといろんなことを感じて、考えていると感じます。

 子どもをちょっと後押ししてみるけれど、無理をしないでのんびりと……。「あれ? あんなに悩んでいたのはなんだったんだろう?」と思える日がきっときます。

安井素子(文・写真)

 


編集部より

 「トイレ」がキーワードの本、ほかにもこんな作品があります!

『ノンタンおしっこしーしー』(キヨノサチコ 作・絵)

しーしーしー、なんの音? 赤ちゃんぶたさんはおむつでしーしー。くまさん、うさぎさんはトイレでしーしー。あれ、ノンタンは?

『ひとりでうんちできるかな』(きむらゆういち 作)

おむつからおまるへ、おまるからトイレへ。しかけ絵本で楽しくトイレトレーニング!


安井素子(保育士)

愛知県に生まれる。1980年より、公立保育園の保育士として勤める。保育士歴は、40年近く。1997年から、4年間、椎名桃子のペンネームで、月刊誌「クーヨン」(クレヨンハウス)に、園での子どもたちとの日々を、エッセイにつづる。書籍に、名古屋の児童書専門店メルヘンハウスでの連載をまとめた『子どもが教えてくれました ほんとうの本のおもしろさ』(偕成社)がある。現在、保育雑誌「ピコロ」(学研)で「きょうはどの本よもうかな」、生協・パルシステムのウェブサイトで「保育士さんの絵本ノート」を連載中。保育・幼児教育をめぐる情報を共有するサイト「保育Lab」では、「絵本大好き!」コーナー(https://sites.google.com/site/hoikulab/home/thinkandenjoy/picturebooks)を担当している。保育園長・児童センター館長として、子どもと一緒に遊びながら、お母さんやお父さんの子育て相談も受けてきた。現在は執筆を中心に活動中。

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