うそをつくのは、良くないこと。もちろん、だれでもそう思うでしょう。でも、ときには、うそがあたたかな友情を連れてきてくれることもあります。 『コレットのにげたインコ』(イザベル・アルスノー 作/ふしみみさを 訳)は、まさにそんなお話です。 あたらしい町に引っ越してきたコレットは、小さなうそをつく きょう、コレットはあたらしい町にやってきました。どうぶつを飼いたいコレットですが、おうちの人はきっぱり「何度いったらわかるの? どうぶつは飼えません」。すねたコレットは、ひとりで家をとびだします。 すると、2人の男の子にであいました。 「ぼく、アルバート」「トムだよ」 「わたし、コレット」 「なに してんの?」 そう聞かれて、口ごもってしまったコレット。何かいわないと……と、つい、「ペットがいなくなっちゃって、さがしてるの」とうそをついてしまいます。 「ええっ、たいへん!」「ペットって、犬?」「それとも、ネコ?」 「ええと……とりだよ…インコ!」 「インコか! いいね。さがしにいこうよ」 アルバートとトムは、コレットのインコをさがしてくれることに。コレットはうそだと言い出せずに、2人の友だち・リリイの元へ向かいます。 「リリィが望遠鏡をもってるから借りにいこう」 コレットのインコは、どんなインコ? 空想がふくらむのとともに、友だちの輪も広がった! リリイのところへ行った3人。そこでリリイにインコの色をきかれ、コレットは「ええと……あ……青だよ!ほっぺは黄色なの」と答えます。 すると、今度はリリィが「スコットの家にあるエサ台に、エサを食べにきてるかも!」と考えつきました。仲間は4人に増えて、こんどはスコットの元へ向かいます。 そしてスコットのところで、またインコのことを質問され、コレットは想像をふくらませながら答え、それなら、というスコットの提案で、また次の友だちの元へみんなで向かい……、だんだんと仲間が増えていきます。 だけど、ほんとうはいないコレットのインコ。さて、インコさがしはどうなるのでしょう? そしてみんなとコレットは? ふくらんでいく空想が楽しい一方、「このうそ、どうなるの?」というドキドキもある、目が離せないお話です。さいごはあたたかな気持ちになれますよ。 あたらしい環境で友だちをつくるのはむずかしいもの。でも、小さなきっかけがあれば、自然とその輪は広がります。心細いときや勇気がほしいとき、ぜひ手にとってみてくださいね。 この記事に出てきた本 コレットのにげたインコ