ときは戦国時代、大きな岩をかるがると持ち上げてしまうほどの怪力の少年・小太郎を主人公に、子どもたちが大活躍する「大あばれ山賊小太郎」シリーズ(那須正幹 作/小松良佳 絵)。「図書館で借りて読んだけれど、自分用に欲しくて買いました!」、一時的に在庫がなくなった「絶対に買います、はやく重版してください!」など、読者の方にたくさんの熱い言葉をいただきました。
きょうは、このシリーズについて、1作目を中心にご紹介します!
戦国時代、とある村。小太郎は、両親を殺されてしまう
おもちゃのガラガラの代わりにかなづちを振り回したり、大きな岩をふたつ手に持って、おてだまのように投げて遊んだりと、大変な怪力の持ち主でした。その上やんちゃだったので、両親を困らせることもありましたが、大切に育てられていました。
ところが小太郎が12歳になったあるとき、小太郎の住む村に、豪族・牛頭入道の命令で奇襲隊がおそいます。実は少し前、村をおさめていた大名が倒され、村は牛頭入道の領地になっていたのでした。
我がもの顔で村にあらわれ、次々に村人を殺す奇襲隊。なんと小太郎の両親も、一瞬のうちにきり殺されてしまうのです。
「ちくしょう、あいつら、いったい なにものなんだ。」子どもだからと見逃されて生きのびた小太郎は、村を出て、母が残した言葉のとおり、別の村に住む祖母の家をめざします。同時に小太郎は、両親をきった男が「赤岩重太夫さま」と呼ばれていたことをしっかり頭に入れ、この名前はぜったい忘れない、と心にちかいました。
焼けおちて煙のあがる故郷の村を見て、小太郎はくやし涙を流しました
旅の途中でであった2人の少年、マメ太と剣之助
祖母の元をめざす旅の途中、小太郎は2人の少年と出会い、3人はともに旅をする。
左がマメ太、右が剣之助。真ん中は小太郎
1人目は、「はぐれ忍者」のマメ太。甲賀忍者になる修行の途中で里を出てきてしまい、旅の仲間を探していたところ、小太郎と出会いました。小太郎より年下のわりに、ちょっとあつかましく調子がいいマメ太ですが、野宿のしかたを教えてくれたり、すばしっこく動いて情報を仕入れてくれたりする、頼もしい少年です。
2人目は、修行中の剣士、月形剣之助。天才的な剣の腕を持つ、礼儀正しい少年です。その技術を見たマメ太がスカウトしました。小太郎ははじめ、両親を「おさむらい」とは仲間になりたくない、と思いますが、りっぱな剣士になるべくまじめに修行し、実は子どもっぽい悩みもある剣之助と、次第にうちとけていきます。
山賊の子どもたちと仲間に!? そして、対決へ!!
パワフルな3人と子どもたちの活躍が爽快! 一緒に仲間になった気持ちに。
小太郎、マメ太、剣之助は、子どもらしい一面も持ちながら、それぞれの得意分野では大人顔負けの力を発揮する、とても魅力的な3人です。また、ほかに登場する子どもたちも、得意なことを生かし、お互いの苦手なところをおぎないながら、協力しあって元気に暮らしています。
そんな子どもたちだけのいきいきとした山の生活ぶりを読んでいると、自分もその仲間になった気持ちになり、戦いの場面でもぐっと力が入ります。熱い読者が多いのも、こうしたところに理由があるのかもしれません。
シリーズは2作目『気球にのった少年』、3作目『八雲国の大合戦』と続きます。いずれも小太郎、マメ太、剣之助が大活躍! きっと1作目を読んだら、手を伸ばしたくなるはずです。