宝船のどらごんのごんどらが、七福神をのせて向かうのは……? めでたさいっぱい、よろこびいっぱい! 橘春香さんに、新刊『どらごんごんどら』について、お話を伺いました。

たちばなさんの絵本は、偕成社ではなんと2005年刊の『こどももちゃん』(品切重版未定)以来ですね。首を長くしてお待ちしていました!
ありがとうございます! じつはこの絵本の元になったオリジナルの作品は、『こどももちゃん』よりも先に出来上がっていました。しかも全ページフルカラーで絵も仕上げていました。でも当時は、自分のためだけに描いた絵本だったので、完成しても、しまいこんでいました。
そこからしばらくして、担当編集者さんにお声をかけていただき、『こどももちゃん』を含むたくさんのラフと、オリジナル版『どらごんごんどら』を持っていきました。編集者さんは『こどももちゃん』か『どらごんごんどら』でデビューを、と考えてくださり、結果『こどももちゃん』でのデビューが決まりました。
そんなわけで『どらごんごんどら』は再び長い眠りについたのです。それが、2年くらい前に編集者さんから『どらごんごんどら』やりませんか?とご提案があり、そうしてオリジナル版を描いてから30年近くたった今、満を持して、やっと形になりました。

オリジナル版はモダンで、印象がちがいますね! 今回の作品はより、「めでたい」雰囲気にあふれていますね。
オリジナル版は、ただひたすらに不思議な世界で、常世とうつし世のすき間の異次元というか、神聖さみたいなものは描こうとしていたと思います。でも、もう少し人間の存在を感じるものにしたいな……とぼんやり思いつつ、長いあいだ放ってありました。
そこへ今回、眠っていた〈どらごんごんどら〉を起こすにあたり、編集者さんからヒントをいただき、突破口が開きました。神聖さに人間の体温を足すと、それは「めでたさ」だったのかもしれません。ラフを進めているときも、編集者さんと「めでたいですよね?」「うん、めでたい、めでたいです!」「いや〜、めでたいですねえ〜」なんて言い合いながら、めでたさで盛り上がっていました。
七福神の宝船というと七福神たちについ注目してしまいますが、今回は本のタイトルにもあるとおり、船にも命が宿っているのがとてもおもしろいですね。
おもしろいですか? よかったです! 最初のアイデアの時から〈どらごんごんどら〉が主人公の絵本だったものですから、当然のように命を与えてしまってました(笑)

『どらごんごんどら』は回文のようで回文じゃないのですね。
はい、回文ではないんです。「山本山」みたいな言葉遊びです。〈どらごんごんどら〉という音を思いついたとき、おもしろいし気持ちいいな、と思いました。それで、「どらごんごんどら どんぶら どんぶら どらごんごんどら どんぶらこ」と、つい口に出して言ってみたくなるような文章の絵本にしようと考えました。幼いころ、弟たちと一緒に声をそろえて読むのが大好きな絵本がありましたが、『どらごんごんどら』もそういう絵本になれるといいな。
クラシカルな昔話のようでいて、色づかいや描かれているものはところどころポップ、という独特の世界観に魅了されました。
ありがとうございます。普段から色数が多く、わりとサイケデリックな色彩の絵を描くので、それを殺さないように気をつけました。今回初めて和紙に描いてみたのですが、日本らしさはありながら、和風になりすぎず、昔話風になりすぎないように、色彩や出てくるアイテムで、ポップでキッチュなムードをいかにキープするかに心を配りました。

描かれるにあたり、参考にされたものはありますか?
国立故宮博物館に収蔵されている子どもたちが遊んでいる絵ですとか、日本の皇居三の丸尚蔵館の収蔵品などです。でもそれらに影響されすぎると、ポップさやキッチュさはどんどん消えてしまうと思ったので、しっとりしすぎないように、高貴になりすぎないように、ベトナムのカチャカチャした可愛い雑貨のような色と質の感覚を自分の胸に置いて描き進めました。
七福神が幼い子どものようで、手をひろげてはしゃぐ動作などもとってもかわいらしくて……さいしょから子どものイメージで描かれていたのですか?
はい、最初から七福神は幼い子どものイメージでした。このキッチュな見た目の〈どらごんごんどら〉に乗るなら、でっぷりしたおじさんやしわしわのおじいさんの姿の神様よりも、可愛い子ども時代の姿のほうがいいかなと思って。七福神の性格も、全ページを描いているうちになんとなく見えてきました。
たとえば、福禄寿は、7人全員が〈どらごんごんどら〉に乗って旅がスタートしたところで、すでにウトウトしはじめ、自分が活躍するページ以外はほとんど寝ています。わたしも小さいころから乗り物に乗るとなぜかすぐに寝てしまうのですが、福禄寿もどうやらそういうタイプです。

ウトウトしている福禄寿、気になりました笑。細かいところを見るたびに発見がありそうですね。
ひとりで何度も何度もくりかえしじっくり絵を見ても楽しいし、読み聞かせなどでみんなで声をそろえて読むのも楽しい、そういう絵本になったらいいなと思います。
「どらごんごんどら」とつぶやいただけで、みるみる晴れやかな気持ちになりそうです! ありがとうございました!



