「おなまえ おしえてくーださい」とパンダがいろんな動物たちにインタビューすると、みんな元気に名前を答えます。最後は読み手に「おなまえ おしえてくーださい」。自分の名前を答える練習もできて、入園の季節にもおすすめの本作について、作者・新井洋行さんにお話を伺いました。
この絵本が生まれたきっかけをお聞かせください。
娘たちが保育園に通っているころ、発表会の前などに一人一人、保育士さんに「おなまえは?」と聞かれて、子どもたちが「〜です。」と答えて行く様子があまりにも可愛くて……。
そのやりとりを絵本にしたいとおもったのです。
この絵本ではそのやりとりを動物たちがしていますが、登場する動物はどのように決まったのでしょうか?
最初の案では、登場するのは、あまり名前を知られていないようなめずらしい動物だけでした。
みんなが名前を知らない動物が自分の名前を言うことで、「名前を聞く絵本」と言うコンセプトが強くなると思っていたのです。
そのバージョンのラフをあずけた編集者さんが、何組かのご家庭でラフを読んでもらったときの子どもたちの反応から、「小さな子たちが感情移入して名前を言いたくなるには親しみのある動物のほうが良いと思う」と。たしかにそうかもしれないと思い、子どもたちが知っていそうな動物たちを登場させることになりました。
唯一「ラーテル」だけが、初期のラフから続いて登場しています。ラーテルのおかげで、やりとりによって初めて名前がわかるという当初のコンセプトも表現できているのではないかと思います。
ラーテル、特徴がおもしろくて、わすれられなくなります。主人公はパンダですね!
うちの下の娘が小さいころいちばん好きだったのがパンダだから、主人公にしてみました。自分はこの絵本ではパンダがお気に入りです。このパンダのとぼけた感じの表情が好きです。
「なまえ」について、なにかとくべつなエピソードなどはありますか?
娘たちの名前を考えたのは自分ですが、「は」や「な」みたいにくるっと丸まっている部分があるひらがなが好きで、娘ふたりの名前のひらがなはすべて、くるっとする部分がある文字になっています。
「あけて・あけてえほん」シリーズなど、小さなお子さんにむけての絵本を多く出されていますが、なにか本作りにおいて心がけていらっしゃることはありますか。
「その絵本を使って親子で遊ぶように読める」ということを意識して作っています。本作りというより、新しい遊びのルール作りみたいな感覚で絵本を描いています。みなさんの笑顔の時間に、僕の絵本がいっしょにいられたらいいなと思っています。
ありがとうございました。『おなまえおしえて』の続刊も出ますね。楽しみにしています!
新井洋行
1974年生まれ。雑貨や木の積み木などのデザインを数多く手がけるデザイナーでもある。二児の父。絵本に『れいぞうこ』『おしいれ』『おふろ』『ひきだし』『どっちのてにはいってるか?』『どっちにかくれてる?』『しゅっしゅぽっぽ』など。