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絵本の相談室

保育士が答える! 0123歳のちょっとしたお悩み 第35回

水遊びをはじめると、なかなかやめません! どうしたらいい?

子どもは本当に水が好きです。保育園でも、少し気温が高いとすぐに水遊びをはじめます。子どもたちの体の中には温度計があって、決まった温度になると水遊びをはじめるのではないかと思うほどです。

わたしが園長をつとめる園では、子どもがいつでも水で遊べるよう、子どもの背の高さに合った場所に蛇口を設置しています。

子どもたちが水道の蛇口から水をくんで、水をはった「たらい」まで運んで遊べるようにしているのですが、なんといっても、水道の蛇口から出てくる水そのもので遊ぶのが一番楽しいようで、なかなかやめてくれません。先生たちも頭を悩ませているときがあります。

水は子どもたちの好奇心を満たす絶好のおもちゃ。遊びからたくさんのことを学んでいる。

先日も3歳になったばかりの子が2人、先生が「もう、ごはんだよ」と声をかけても、やめる気配もなく水遊びをしていました。

主任の先生に2人をお願いして、担任はお昼ごはんを準備するため、部屋へ行きました。

2人はまだまだ水遊びを続行。そのうち、蛇口を上向きにして、そこから出てくる水をじっと観察。ひとりが水の量を調節しているうちに、もうひとりが透明の飼育ケースをもってきて、そこに水を入れはじめました。

子どもたちは、ケースの中で水が渦巻くようすに心をうばわれていました。子どもの視点で見てみると、確かにケースの中には光も入って、とてもきれい!

とめることはやめて、子どもたちの探求心に少しの間つきあいました。

こんな遊びの中で、子どもたちは水の性質に気づき、「冷たい」とか「きれい」といった感覚、「なんでだ?」という疑問を育てていくのだと思います。

水は子どもたちの好奇心を満たしてくれる絶好のおもちゃ。水遊びからたくさんのことを学んでいると保育園ではとらえています。

水遊びをしていた子どもたちは、すっかり満足して、「おなかすいた」と部屋へ入っていきました。

子どもが見通しをもてる言葉がけをすると、やめてくれることもある。

水遊びが終わらなくて困るときは、

「ここまでやったら、おしまいね」

「終わったら、おやつにしようね」

など、子どもたちが見通しをもてる言葉がけをしておくと、声をかけたときに、やめてくれることもあります。

水遊びで、たらいやお風呂に水をためて遊ぶときは、要注意。小さい子の不慮の事故の死因には、溺死が上位に入ります。絶対におとながついて遊んでくださいね。

水遊びを楽しむ絵本。

夏ならではの水遊び。おとなも一緒に楽しんでみるのがおすすめです。そんなとき、こんな絵本を読むとさらに楽しめます。

『ちょこっとできるびっくりあそび1 水のふしぎあそび』(立花愛子、佐々木 伸・著、偕成社)

この本では、蛇口から出てくる水や、放った水の軌跡を観察することから、手品、おえかき遊びなどまで、たくさん紹介されている。おとなも試してみたくなる。1歳の子でも、「じゃーじゃー」「ばーっ」「かきかき」「ばーあ」とページをめくりながら、写真やイラストを見てイメージをひろげているのがわかる。最後の「ダンシングタコさん」のページでは、わたしの顔を見るので「遊びたいね」と言うと、「うん!」と、うれしそうにうなずく。これからの暑い時期にぴったりの本。「遊んでみたい!」という意欲がわくって、すてきなことですね。

『こぐまちゃんのみずあそび』(わかやまけん、もりひさし、わだよしおみ・作、こぐま社)

お花に水をあげたり、ありにまで水をかけたり、最後はホースでシャワー遊びをして、どろんこに。わたしの保育園では、毎日のように見られる光景です。思わず「ありさんがかわいそう」とか「水がかかるからやめて」と言ってしまいそうですが、水遊びをする子どもたちの表情はとても真剣で、まるで研究者のよう。水に立ち向かっているように見えるのです。こぐまちゃんも道具を使って水のおもしろさを存分に楽しんで、最後には「おしまい」と言って水遊びを終えます。あとがきでは、教育評論家でもあるもりひさしさんが、「子どもの主体性と『いたずら』の大切さ」を書いています。その文章を読むと、少し子どもに寛大になれるかも!


安井素子(保育士)
愛知県に生まれる。1980年より公立保育園の保育士として勤める。保育士歴は、40年以上。1997年から4年間、月刊誌「クーヨン」(クレヨンハウス)に、子どもたちとの日々をつづる。保育園長・児童センター館長を経て、現在は中部大学で非常勤講師として保育と絵本についての授業を担当。保育者向け講演会の講師や保育アドバイザーとしても活動している。書籍に『子どもが教えてくれました ほんとうの本のおもしろさ』(偕成社)、『0.1.2歳児 毎日できるふだんあそび100ーあそびに夢中になる子どもと出会おう』(共著、学研プラス)がある。月刊誌「あそびと環境0・1・2歳」(学研)、ウェブサイト「保育士さんの絵本ノート」(パルシステム)、季刊誌「音のゆうびん」(カワイ音楽教室)で連載中。

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今日の1さつ

両親が、孫のためにプレゼントしてくれました。娘もとても喜んでいました。本は1つ1つの絵も内容もとても素敵でお洒落で、子供から大人まで楽しめる1冊だと思いました。インテリアとしても楽しめる本だと思いました。(5歳・お母さま)

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