空をながめるのは好きですか? 空に浮かぶ雲は、いろいろな姿を見せてくれますね。今回ご紹介する絵本『くも』(しおたにまみこ 作)は、そんな雲たちに思いをはせ、空を見上げたくなる一冊です。
季節や天候によって、さまざまな表情を見せる雲
本作の語り手である女の子は、雲についてわたしたちにこんな風に問いかけます。
「くもと めが あったことは ありますか?
わたしは いちどだけ、あります。
くもを みていたら、
くもが かおを ちょっと うごかして、
めを ちょろっと わたしに むけたんです。」

雲のことが気になる女の子は、雲についてさまざまな思いをめぐらせ、その姿について語ります。
昼間、青空を歩く雲は、ごきげんなようす。夕日に当たる雲は、少しさみしそう。夜、月明かりを浴びた雲は、何かむつかしいことを考えているようにも見えます。

ふだんは雲もわたしたちも、お互いを気にしないけれど、仲良くなれたら楽しそうです。どうやったら、仲良くなれるでしょうか?
しおたにまみこさん、はじめての油彩での作品
作者のしおたにまみこさんは、これまで木炭鉛筆と水彩を用いた繊細な表現で知られてきましたが、本作では、はじめて油彩という新たな技法に挑戦しました。油彩ならではのタッチで表現される雲の表情は、見る者の気持ちを映し出しているようにも感じられます。
“くも”という存在の不思議さと美しさを、しおたにさんならではのまなざしで描いた、珠玉の一作。読んだら雲の見え方がちょっと変わるかもしれません! ぜひ絵本をひらいてみてください。