4年に一度のスポーツの祭典。そこにもし、ぞうが参加したら、どうなるでしょう!? 『ぞうの金メダル』(斉藤洋 作/高畠那生 絵)では、ぞうが奇想天外な活躍を見せ、いろんな競技で金メダルを獲得します! いったい、どんなふうに? じめじめした暑さもふっ飛ぶ、自由で楽しい絵本をご紹介します。
最初の、ほかの消防士たちと一緒になって、火事の消火をしているぞう。長い鼻をホースのようにのばして、大活躍です。でも、消防士だけやっている、と思ったら大まちがい。実は、オリンピックにも出るんです!
では一体、どの競技に出るのかというと……まず、もちろん金メダル。
円盤投げでも、長い鼻で円盤をぐるぐる巻きにつかんで、えいっと投げて……競技場の外まで飛ばして、金メダル!
個人種目だけではありません。団体競技だって、
野球のバットを鼻でぐるん! バレーボールやサッカーは、大きな耳でブロック。バスケットボールは……おや、鼻でボールをつかんで、そのままゴールへ!?
こんな調子で、さまざまな競技に出場するぞう。もちろん時には、苦手な種目もありますが(そんな時は、観客席で見物です)、自分の体の特徴を使い、全力で競技にいどむぞうの姿は、豪快で自由! さて、一体いくつの金メダルをとったのでしょう?
人間も動物もいっしょくた! パワーをもらえる元気な絵本
この絵本、ぞうのまわりの選手たちを見てみると、人間と動物がいっしょくたになっています。100メートル走の場面では、左から、人、ぞう、黒ひょう、人、チーター、犬……と、並び方もごちゃまぜこの世界では人間も動物も、みんな一緒に大会を楽しんでいるのです。
また、高畠那生さんによる絵は、一見シュールな雰囲気ですが、ふしぎなパワーを持っています。へんてこな観客や、現実にはないような競技場が、読者を自然にこの世界へ導いてくれます。斉藤洋さんのユニークな文章とともに、力いっぱい競技に取り組むぞうの表情にも、注目してみてくださいね!