いよいよ、本格的な梅雨の時期になりました。雨の日がつづくと、空気だけでなく気持ちもジメジメしてしまうこと、ありますよね。きょうは、そんな雨の日にこそ読みたい、楽しい翻訳絵本『あめのひ きのこは…』(ステーエフ 原作/ギンズバーグ 作/アルエーゴ、デューイ 絵/厨川圭子 訳)をご紹介します。
雨がふってきた! ありが小さなきのこを見つけ、雨やどり
ある日、ありが野原を歩いていると、急にざーっと雨がふりだしました。
「わー、たいへん。どこへ かくれようかな?」
ありがかくれる場所を探すと、野原のまんなかに、小さなきのこを見つけました。ありはその下にもぐりこみ、雨がやむのを待つことにしました。
とてもせまそうですが、なんとか入れました!
ほかにも雨にぬれた生きものたちが……。入れるかしら!?
無事、きのこの下におさまったありの元に、ちょうちょうがやってきました。
「なかへ いれて ちょうだい。はねが ぬれて、もう とべないの。」
ありだけでもいっぱいいっぱいのきのこです。はじめは「そりゃ むりだよ」と答えたありでしたが、きゅうくつでもかまわないから、というちょうちょうの言葉に、なんとかからだを寄せて、ちょうちょうと一緒にきのこの下にかくれました。
ちょうちょうの羽をたたんで……なんとか、入ったみたいです。
「ねえ、きのこの したに いれておくれよ。もう ずぶぬれの ぬれねずみだ。」
今度は、ねずみがやってきました。もうむり! と思いましたが、ねずみもなんとか入りました。
その後もかくれる場所をさがす生きものたちがやってきて、すずめ、ついにはうさぎまでが、ぎゅうぎゅうときのこの下におさまりました! 信じられないことです。
きつねに追われていたうさぎは、ぎゅうぎゅうづめになって姿をみんなにかくしてもらったおかげで、きつねをやりすごします。
雨があがった! きのこの下からでてきて、わかったこととは?
やがて、長くふりつづいた雨があがりました。みんなは大よろこびで飛びだします。でも、ありは、どうもふしぎでなりません。はじめは自分だけであんなに窮屈だったのに、どうしてみんなで入れたんだろう?
すると、それを見ていたかえるが、きのこの上から笑っていいました。
「ハッハ! あめのひの きのこに、なにが おこるか? おまえたちは しらんのかね。」
いったい、雨の日のきのこには何が起こるのでしょう? 必死できのこの下に入っていたみんなは、きのこを見上げて、やっとそのひみつがわかりました。ああ、そうだったのか!
みなさんはわかりましたか? 雨の日も楽しい気持ちになれる一冊です。生きものたちのコミカルな表情にも注目してみてくださいね!