もうすぐ4月。東京ではいよいよさくらがほぼ満開になりました! 日本各地で次々と咲くさくらの花は、毎年わたしたちを楽しませてくれます。
きょうご紹介するのは、さくらの木について詳しく解説した絵本『さくら研究ノート』(近田文弘 著/大野八生 絵)。日本でいちばん植えられているさくら、ソメイヨシノを中心に、さくらの木の1年間を追いかけます。
春、さくらが咲いた! 花ってどんなふうになっているの?
さくらの花ひとつひとつをじっくり観察してみると、いろいろなことがわかります。おしべにめしべ、柱頭など、理科の勉強にもつながる知識から、「根元の“がく”ごと地面に落ちている花は、風で落ちたのではなくスズメのしわざ!」「同じ木の花でもいろんな花びらの重なり方があって、落ちるときくるくる回ったりすーっと落ちたりする!」など、花の細かい部分に、より興味がわく情報も載っています。
右は、著者の近田さんが実際に見つけた花のイラスト。こんなにいろんな花びらの重なり方があるんですね!
花が散ったあとは? さくらの木の変化を追う!
うすピンク色の花がなくなった後のさくらの木には、みどりの葉っぱが生いしげります。ごく普通の葉っぱに見えますが……、実はほかの木の葉にはない、「みつせん」と「たく葉(よう)」という、めずらしいものがあるのだとか! また、夏の間はあつくなった木をさます、クーラーの役割もあるそうです。
秋、冬にも、さくらは春への準備をしている。そしてまた春へ!
秋になっても、葉っぱのついたさくらの木の見た目はあまり変わりませんが、実はこの頃もう新しい芽がのびてきています。やがて、葉っぱは赤や黄色に色づき……葉っぱが落ち……木は眠りにつきます。
気温が10℃以下になってから50〜60日ほど眠ると、根っこや木の皮の中から、目覚めはじめるのだそうです。
そして根っこから順番に目を覚ますさくら。春に向けて花の芽が準備を始め、あたたかい日が続く3月のおわりごろから、また花を咲かせるのです。
春だけではないさくらの木の魅力にふれられる
さくらの木は春のもの、と思いがちですが、花の季節が過ぎても、さくらの木には魅力がいっぱい! それを知り、もっとさくらを好きになれる一冊です。さくらもち、さくらずしなど、「食べるさくら」についてのページもあります。お花見のお供に、またその先の季節のお供に、ぜひ手にとってみてくださいね。