日記みたいによめる、季節ごとのひとりごと
春の訪れを教えてくれる、一羽の小鳥。夏の海べで食べる、しょっぱいピーナッツバターサンド。秋の風を感じて、きゅうに恋しくなるセーター。冬の日あたたかい部屋でゆっくり過ごすしあわせ。
きちんとつかんでおかないと、なんとなく通り過ぎてしまうかもしれない。でも、どんな人の心にも何気ない心地よさをあたえてくれる。そんな、なんでもないふつうの日の、季節の一瞬のきらめきを、女の子のまっすぐな目でみつめ、日記に書き留めたような詩が48編入っています。
いくつか詩を紹介してみますね。
まずは、日付の近いこちらから。
5月20日
「はやくどこかにいって」
わたしは雲にささやいた
太陽には聞こえるように
でも
雨を起こさないように気をつけながら
「イチゴはぷんぷんおこってるし」
バラだってため息ついてる
わたしこの耳で
たしかに聞いたんだから」
もうすぐやってくる夏の章にはこんな一編。
7月12日
あと何日かしたら
わたしたちは海にいく
海でおよいだあとは
ピーナッツパターサンドと
プラムを
みんなでたべるの
海のようにちょっぴりしょっぱい
ピーナッツバターサンドや
おひさまの味がするプラムほど
おいしいものはないって
おもいながら
いかがでしょうか? どの詩も、すっと心に季節の風をとおしてくれると思いませんか?
愛らしいイラストと、心のなかでずっと大切にしたくなるコトバ
翻訳を手がけたのは、たくみな言葉遊びでも知られる、詩人の石津ちひろさんです。元の詩の世界感をそこなうことなく、うつくしい日本語におきかえてくださいました。
季節の詩情あふれる絵とともに、コトバひとつひとつが大切な宝物になりそうな一冊です。ぜひお手に取ってみてくださいね。