いつでも同じ場所に立っている、木。森の中で群生しているものもあれば、住宅地に街路樹として立っているものもあります。うんと太くて立派な木を、「ずっとこの場所でいろんなものを見てきたんだろうなあ…」と、ドラマを想像してしまいます。
でも、もしもこの木がどうでしょう? 木だって動きたくなるときがあるのかも…。『あるきだした小さな木』は、もっとたくさんのものを見たくなったふかい森にすむちびっこの木の、大冒険の物語です!
ふかい森でしあわせに暮らすちびっこの木
ふかい森にすむちびっこの木は、パパの木とママの木とともに、しあわせに暮らしています。森には子リスやちょうちょなど、友達もたくさんいます。
小鳥たちの話にたくさん出てくるのは、「にんげん」や「男の子」「女の子」といった言葉でした。木のように葉っぱもなければ、鳥のように羽もなく、鉄砲をうったり、かごの中に鳥たちをおしこめるという「にんげん」。動物たちは怖がっているようですが、あるとき森に迷い込んできた男の子を見て、木は、怖いものじゃなさそうだぞ、とかんがえます。
男の子は歌をうたったり、のいちごをつんできたりして、ちびっこの木に寄りかかって眠ります。やがて家族が男の子を見つけ、よかったよかったと言いながら帰っていきました。
外の世界へのあこがれ…そして木は歩きだす!
男の子と出会って以来、ちびっこの木はもっと別の場所に行ってみたいとつよく思うようになります。仲良しのすずめには「だって、どうやるのさ? 木ってものは、ねっこではえてるんだろ? あるけないじゃないか。」と言われますが、今まで歩こうとした木がいなかっただけで、本当に一生懸命歩こうとすればできるかもしれない、と、毎晩ねっこをゆすってがんばります。
そして、なんとある夜、ちびっこの木は、ついにねっこを地面から出して、村に向かって歩きだしたのです!
村や街での大冒険
村にはたくさんのものがありました。家、大きな教会、ひこうせん、自動車、はなよめ行列…。村に立つほかの木から、つかまらないように用心するんだよと忠告されるちびっこの木ですが、見たいものがたくさんあるちびっこの木は、夜にだけ歩くことを決め、さまざまな場所へ冒険に出ます。
野原での生活に満足したちびっこの木は、「ここにいることにしよう」とかんがえますが、ある日とつぜん、ひきぬかれて、トラックでとおくに運ばれてしまいます!
さて、ちびっこの木はどこへ行き、どんな冒険をするのでしょう?
長く読みつがれるフランス発のロングセラー
この本はフランスで発表され、1969年に日本語版が刊行されました。 という方も、そうでない方も、親子で一緒に楽しめるはずです。
写真をご覧いただくとわかるように、おしゃれで色あざやかな挿絵もこの本の魅力。入っている絵はすべてカラーです。おもわずじっと見たくなるすてきな絵にも、ぜひ注目してみてくださいね!